初の純国産新型コロナワクチン承認 XBB対応 ~人間を発展させてきたのはテクノロジー
ワクチンがなければ人間は生きていけないように、人間を発展させてきたのはテクノロジー
奥山)テクノロジーと一緒に生きているのが人間であって、言い換えれば既に人間は、テクノロジーによってサイボーグ化しているのではないかと思います。 飯田)テクノロジーに守られているということですか? 奥山)テクノロジーと一緒に生きているということです。ロボットは完全にテクノロジーだけで、人間とは違うものです。アンドロイドはターミネーターのように人間の形をしているけれど、ロボットです。考え方として、ロボコップと人間はたぶん一緒です。テクノロジーと一緒になって、初めて人間になる。例えば我々はワクチンがないと生きていけないですよね。子どものころに30本くらいワクチンを打っています。 飯田)子育てをすると、2~3歳くらいまで毎月のように予防接種を受けに行きます。 奥山)そうしないと生きていけない体になっているのです。副作用などの問題はあるかも知れませんが、人間をこれだけ発展させてきたのはテクノロジーであると考えると、ワクチンに関しても、それほど心配することもないのかなと思います。それを使うことで人間は生き残ってきた。その核心にあるのがワクチンのようなテクノロジーの産物なのかなと思います。
テクノロジーの発達によって変わってきた人間
飯田)少し哲学的なテーマになりますが、遺伝的な情報を見ると、類人猿と人間の遺伝子はかなり類似していますよね。 奥山)チンパンジーは98%以上が同じだと言われています。 飯田)その差異は遺伝子的なものだけではなく、そのあとの作用もあります。イスラエルのユヴァル・ノア・ハラリ氏は、「我々は物語を持ったからこそ、人間を人間たらしめたのだ」と『サピエンス全史』に書いている一方で、道具の使用や火の発見という部分が違いを生んだのでしょうか? 奥山)古代の遺跡を見ていくと、人間の脳は道具が出てきたときに大きくなっているのです。例えば料理に使う道具が発達したことで、ヨーロッパ人はルネサンスの時代に歯が引っ込んだりしています。それまでは手で肉にかぶりついていたので、歯が前に出ていた。しかし、テーブルマナーとともにナイフとフォークで肉を細かく切り分けるようになってから、歯が引っ込んだのです。 飯田)噛み切る歯から、すりつぶす歯に変わった。 奥山)テクノロジーによって変えられているということです。