アメリカ軍の「カタイブ・ヒズボラ」司令官殺害はイランへのメッセージでもある
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が2月9日、ニッポン放送「小永井一歩のOK! Cozy up!」に出演。米軍によって行われたイランが支援する武装組織の司令官殺害について解説した。
イランが支援する武装組織の司令官をアメリカ軍が殺害
米国防総省は2月7日、イラクの首都バグダッドでドローン(無人機)による攻撃を実施し、イランが支援する武装組織の司令官を殺害したと発表した。殺害されたのは、武装組織「カタイブ・ヒズボラ」の司令官と警備員の2人。バグダッド東部で車両内にいるところを標的にされた。 小永井)今回の殺害は、ヨルダンで1月29日に米軍兵士3人が殺害された攻撃への2度目の報復と見られています。宮家さんはこの件について昨日(2月8日)、産経新聞のコラム『宮家邦彦のWorld Watch』にも寄稿されていますね。
「カタイブ・ヒズボラ」への攻撃はイランに対するメッセージでもある
宮家)いままでイランとアメリカは相互に、それなりに自制していたのです。アメリカもイランと戦争する気はないですし、イランもアメリカと直接戦う気はなかった。ですから、ある意味では代理戦争をやっていただけです。ところが今回、10月7日にガザ紛争が始まってから、初めて米兵3人が亡くなった。米兵が死亡すればアメリカの大統領は絶対に黙っていられませんから、それがいいかどうかは別として、必ず報復するのです。今回のカタイブ・ヒズボラへの攻撃は、バグダッドのシーア派地域で車両に乗っている際に行われ、車両だけが燃えている画像が出てきましたね。 小永井)ありました。 宮家)要するに、アメリカは完全にピンポイントで攻撃しているのです。つまり「お前たちがどこに居るか、俺たちは全部わかっているぞ」という意味です。これはカタイブ・ヒズボラに対するメッセージであると同時に、イランに対するメッセージでもあるのです。「これ以上やるな。間違ってもこれ以上米兵を殺すな」という話で、イラン側は基本的に困っていると思います。アメリカを怒らせすぎても、ろくなことはない。アメリカと戦争になれば勝ち目はありません。下手をすれば国内が混乱します。イランの人たちが宗教色の強いイスラム共和制にみんなハッピーなはずがなく、不満は当然あります。それに火がついてしまっては困るので、本当は静かにしたい。