【漫画家に聞く】「こういう見た目なのが僕なんだ…!!」 少年とスライムの恋と葛藤を描く『スライムだけど愛してる。』が深い
「スライムだけど愛してる。 」ーー少年のなゆた君とスライムの泥沼君の関係を描いた漫画『スライムだけど愛してる。』。2024年5月にXで投稿された本作はクラスメイトとは異なる見た目をしたスライム・泥沼君の葛藤、そして2人がたしかに距離を縮めていく様子が描かれる。ただ本作のクライマックスで再び提示される、作品のタイトル『スライムだけど愛してる。』には多くの読者の想定とは異なる背景がありーー。 キャッチーなのに深い、SNS漫画『スライムだけど愛してる。』 作者・清水幸詩郎さん(@smzk013)によると、本作は友人のとある想いが創作のきっかけとなった作品なのだという。驚きとあたたかみのある本作について、話を聞いた。(あんどうまこと) ーー本作を創作したきっかけを教えてください。 清水幸詩郎(以下、清水):友人と「自分が人間ではない、まったく別の存在になってしまった時」という妄想の話をしていた際、友人が自分と姿がまったく異なる“推し”への想いについて語ってくれました。 私は「どんな姿でも愛するよ」というのが答えだと思っていたのですが、友人いわく「こんな姿だから自分なんだ。こんな姿の自分を愛してほしい」という心境だと知り、本作の物語を思いつきました。 ーースライムである泥沼君を描くなかで意識したことは? 清水:「みんなが当たり前に思って不思議に思わなくなっている不思議」ということが大好きなので、スライムである泥沼君がスライムである事を揶揄されたりせず、ごくごく普通に社会に溶け込んで暮らしている、ごくごく普通の人であるという事を強調したかったです。むしろスライムの子がクラスにいたら人気者かもしれないぞと思いながら泥沼君を描きました。 ーー本作のタイトルを『スライムだけど愛してる。』とした理由は? 清水:この話を描くきっかけになった友人の話と繋がるのですが「こんな姿だから自分なんだ。こんな姿の自分を愛してほしい」という想いへの答えのつもりでタイトルを決めました。 ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは? 清水:本作の冒頭に「こういう見た目なのが俺なんだ…!!」と泣きながら訴える泥沼君と、本作の終盤に押し入れの中で「人間なんて大嫌い」と独り言をいうなゆた君がお気に入りです。 ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。 清水:子どもの頃から漫画が好きで描き始め、仕事にしたいと思い今にいたります。十年以上前になるのですが商業作家としてのデビューは少年誌であり、そのあと青年誌やBL作品など、さまざまなジャンルで描かせていただいてきました。現在は“令嬢もの”の原作を担当させていただいています。 また本作は過去にコミティア(一次創作物の即売会)で出展した作品です。長いことコミティアには参加できていなかったのですが、昨年から参加を再会して創作漫画を描くようになりました。 ーー今後の活動について教えてください。 清水:数人の友人に喜んでもらえればいいという気持ちで描かせていただいた、超個人的な漫画に注目していただけて大変ありがたいです。これからもこんな感じの漫画を描いてSNSにアップしていくので、アカウントをフォローしていただけたら嬉しいです。また、お仕事も募集中です。よかったらお仕事ください。よろしくお願いいたします。
あんどうまこと