ビジホ業界の王者・アパホテルの「北米進出」戦略が超スゴかった 逆輸入と世界戦略を視野に、欧米で「アパとは180度真逆のラグジュアリーブランド」を育成
男性はもちろん、昨今は女性や外国人観光客など、多くの人が利用しているビジネスホテル。各ホテルはそれぞれに、代名詞とも言えるサービスや設備を持っている。けれど昨今のホテル選びでは価格ばかりが注目され、提供側がこだわっているポイントにはスポットライトが当たっていないこともしばしばだ。 この連載、「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」では、各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、さらにその奥にある経営哲学や歴史、ホスピタリティまでをひもといていく。第7回は、全国1位の客室数を誇るアパホテル最終回。北米進出の狙いと戦略に加え、巨大グループの今後の展望を解説する。 【写真で見る】外国人も「日本ってスゴい!」日本式のコーストホテルのバスルーム
■アパとは180度真逆のラグジュアリーブランド アパグループ(以下、アパ)が北米、カナダに進出しているのをご存じだろうか。その名はコーストホテル(以下、コースト)。2016年9月に経営権を取得した後、複数のチェーンの買収を続け、現在は43ホテルを展開している。 国内のアパは、ユニットバスを除いて9㎡~とコンパクトな客室ながら、高品質、高機能なサービスとアイテムを追求したビジネスホテルだ。だがコーストはそんなアパとは180度異なり、ラグジュアリーホテル、フルサービスホテルという位置づけ。
バンクーバーの『コースト コールハーバー バンクーバー ホテル バイ アパ』は、“4つ星”と評されることもあるという。また物価の差も関係しているが、コーストの客室平均単価は、アパの倍以上だ。 コーストがアパとまったく異なっている理由は、アメリカ、カナダのさまざまな法律と規格が、日本とは異なることが大きい。そのため、ノウハウをすべて踏襲することができないのだ。 客室の広さも、かなりまちまち。取得以前のホテルの仕様が残っている部分もあるが、旅館業法に当たる法律が州によって異なるためだ。インテリアや備品もまたしかり。