島豆腐に新殺菌技術 沖縄県工業技術センター、試作に成功 「55度管理」必要とせず
沖縄県工業技術センターが、島豆腐の食中毒リスクを避けるための「55度管理」を必要としない新たな製造技術の開発を進めており、試作に成功した。確立すれば「55度管理」にとらわれず「アチコーコー豆腐」が製造、販売できるようになることから、実用化に期待が高まる。 【写真】値上がりする大豆 厳しい衛生基準…逆風に負けない沖縄の島豆腐 作り手のアツい活動とは? 島豆腐は、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理の義務化で、手引書に示された「55度管理」が、製造業者にとって高い壁となっていた。 県工業技術センターが、2023年度から始めた県豆腐油揚商工組合との共同研究で試しているのは、豆腐にする前の豆乳の段階で、食中毒の原因となるセレウス菌を完全に殺菌処理する方法だ。 120度の高温で4分加熱する「レトルト殺菌」を実施。タンパク質は熱で変性するため、殺菌後の豆乳に、にがりを加えても十分に固まらないことが懸念されたが、一般的な豆腐と遜色ない「セレウスフリー」の豆腐ができた。 実用化には製造効率などで課題が残るものの、県工業技術センターの望月智代主任研究員は「製造側の選択肢を増やし、安定的な生産につなげることで、豆腐業界の振興に貢献したい」と意欲を示した。(政経部・大城大輔)