横浜、悔しい11残塁 再三の好機実らず /神奈川
<2019 第91回センバツ高校野球> 第91回選抜高校野球大会第2日の24日、横浜は初戦を迎え、明豊(大分)に5-13で敗れた。初回に3点を奪い、続く二回にも1点を加えて4点差をつけ「先制逃げ切り」を狙ったものの、五回終了までに10点を奪われた。七回には吉原大稀選手(3年)が大会第1号となる本塁打を放ったが、相手の強力打線に及ばなかった。【洪〓香】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 「チャンスをものにした相手と、生かせなかった自分らの違いだった」。5-13で迎えた九回裏1死、左前安打で出塁した吉原選手の代走として出番が回ってきた西平圭汰選手(同)は、肩を落としながら試合を振り返った。明豊と同じ12安打ながら、2度の満塁のチャンスを生かせず11残塁。何度も訪れた好機に振るわず、横浜の選手らははがゆい表情を隠せなかった。 今春の卒業生で、昨夏の甲子園3回戦、金足農との対戦で六回に勝ち越しの適時二塁打を放った遠藤圭吾さん(18)もスタンドに駆けつけた。4-10と五回が終わって6点差がついたが、後輩たちのプレーにまだ十分な期待を持っていた。「四回の4失点が響くが、及川(雅貴投手)、継投した松本(隆之介投手)もよく食らいついていると思う。2回戦も観戦する予定だから勝ってほしい」 先輩のエールを受けたグラウンドの選手たち。囲んだ平田徹監督から「まだ2回ずつ打席に立つチャンスがある。焦らずに行ってこい」と、送り出された。その言葉通り、吉原選手が七回、右越え本塁打を放った。甲子園の打席に立つのはこの日が初めて。チームはその後も粘り強く攻めたが、得点につながらなかった。 五回の2死満塁で代打で出場した度会隆輝選手(2年)は「チャンスで打てず、とても悔しい。だが、今夏の県大会は4連覇がかかっている。今よりもっとパワーアップした横浜の姿を見せたい」と、力強い言葉で再スタートを誓った。 ◇大砲復活のアーチ 吉原大稀選手(3年) 4-10で迎えた七回裏、落ち込んだムードだったスタンドを活気づける1発を放った。初球をフルスイングした当たりは、右翼スタンドに突き刺さる大会第1号の本塁打に。甲子園の打席に入ったのはこの試合が初めてだが、「バッティングを買われているから、何としてでも打ってチームに貢献しなきゃ」。その「武器」である長打力は、冬の間、ネットの位置を変えてバッティング練習に励むなど、工夫を凝らして培ったものだった。枕元にノートとペンを置き、その日の練習を振り返りながら、思いついた時にバッティングの感覚と改善点を書いてみる。3日間たっても考えが変わらなかったことは、自主練習で取り入れてみる。甲子園で打席に立つ夢を見ながら、バットを振り続けた。 正捕手、4番打者として、鳴り物入りで北海道から進学し、1年生の春からベンチ入りメンバーに。だが、入学直後に肩を負傷し、その後も左手の骨折、破傷風などが重なり、約1年間まともに野球ができなかった。はい上がろうとしても幾度となく復活を阻むけが。「正直、辞めたいです」と、部長に伝えたこともあった。昨夏は初めてメンバー入りできず、毎晩泣いた。それでも平田徹監督は、新体制となる秋を見据え、期待のスラッガーに試練を与えた。「悔しいと思うが、(技術、精神両面で)中途半端なままベンチに入れることが吉原のためになるとは思わない。自分の代になったとき、しっかりとチームを引っ張ってくれ」。その言葉を胸に、今日まで長打力が武器になるよう、練習に取り組んだ。 平田監督は「初めて立った甲子園の打席で見事なホームランだった」と、納得の表情。仙台から応援に駆けつけた父の政利さん(54)は、初回の先制適時打と本塁打を放った息子を「試合の結果は残念だが、夏の甲子園で暴れてほしい」と、ねぎらった。【洪〓香】 ……………………………………………………………………………………………………… ▽1回戦 明豊 005410030=13 横浜 310000100=5