井上さんの愛用品に見入る来場者＝富山市の高志の国文学館

　高志の国文学館（富山市）で開かれている企画展「生誕90年　井上ひさし展　むずかしいことをやさしく　やさしいことをふかく　ふかいことをおもしろく」（同館主催、富山新聞社共催）は15日、初の日曜日を迎えた。県内外から多くのファンが訪れ、創作ノートや講演のレジュメなどの自筆資料、愛用していた赤鉛筆やペンなどを鑑賞し、創作活動の一端に触れた。 　学生時代に井上作品を読んでいた富山市の吉川千春さん（66）は、小説「吉里吉里人（きりきりじん）」の筋立て帳や設定をまとめたノートに見入り、「ユーモアにあふれた作品が練り上げた上で執筆されていたことがよく分かった」と感心した。 　石川県津幡町から訪れた会社員佐々木孝さん（66）は、吉里吉里人の舞台モデルとなった岩手出身で、若い頃に夢中になって読んだとし「生原稿は一字一字きれいに書いてあり、井上さんの丁寧な仕事ぶりを感じた」と話した。 　会場には、井上さんが手掛けた人形劇「ひょっこりひょうたん島」の台本や、作詞した「ムーミンのテーマ」が第12回日本レコード大賞童謡賞を受けた際の表彰盾が展示されている。 　富山観光に訪れた埼玉県の会社員松永真帆さん（23）は「さまざまな作品を幅広い年代に愛されるきっかけをつくった人。他にどんな作品に関わっているのか知りたい」と話した。 　企画展は11月24日まで。観覧料は一般500円、大学生250円、高校生以下は無料。担当学芸員によるギャラリートーク（展示解説）が10月6、20日、11月3日、17日に行われる。いずれも午後2時から30分間で申し込みは不要。