楽天・オコエ、さらなる進化でプロ初猛打賞!
楽天のオコエ瑠偉(18)が11日、仙台のkoboスタ宮城で行われた広島戦で、プロ入り初の猛打賞をマークした。直接、得点には絡まなかったが、チームは逆転勝利。その3本のヒットの裏には、オコエのさらなる進化が潜んでいた。 最初の打席は、二回無死一塁の場面で巡ってきた。9番のオコエが送れば、トップの岡島へとつなげる展開。ベンチのサインは、セーフティバントだった。だがオコエは、広島の勝ち星のないルーキー、岡田が投じた2球目のストレートをファウルにして失敗した。 「あのあたりが課題。ちょっと難しいだろうと、サインを切り替えた」とは、梨田監督。 オコエも「岡田さんのまっすぐに押された」と、バントのミスで、当然、“しまった”の心理。しかも、ストライクをひとつ損をした。それでも打席の中で切り替えられるのがオコエの強さだ。 143キロのストレートをコンパクトにライト前へ弾き返す。オコエの右打ちは、もう立派な技術だ。 続く第2打席は、1点を追う5回一死走者なし。オコエは、初球のカーブを読んでいたという。 「前の打席はストレートを右方向に打ちました。しかも前日は、黒田さんにスライダーにやられています。そう考えると、ここは変化球から入ってくるなと読みました」 オコエの狙い通りに111キロの甘く入ってきたカーブをレフト前へ引っ張った。 前日は“男気”黒田の前に1本のヒットも打てなかった。最初に打席でツーシームに詰まらされ、後の打席は逆にスライダーで翻弄された。だが、「ひきずらない。反省として生かしたい」と、そのバッテリーの攻めを逆手に取ったのである。配球まで読み始めたのは、恐るべき進化である。 3打席目の7回は二死走者なし。岡田と3度目の対決。128キロの外のスライダーだった。今度も強引にレフト前へ引っ張ったが、少しセンター側へ打球がそれるのを確認すると、躊躇することなく一気にセカンドへ。足を生かした。この打席は「ストレート狙いで変化球に反応した」という。 二死から招いたピンチにカーブはマウンドに内野手が集まった。続く岡島に1本が出なかったが、ここで岡田を追い詰めたことが、降板を決断させ、結果的に8回の逆転劇につながったのである。 「チャンスメイクはできたが、まだ勝利貢献はできていません。課題はたくさんあります」 プロ初の猛打賞にもオコエは、謙虚。 梨田監督は「今日、試合が終わったら散髪にいくと言うので、3発打てよ!と言ったら本当に打つんだから」と、得意の駄洒落でスポーツメディアに見出しを提供した。 「振り返ればいい結果ですが、最初にいい入り方ができたからでしょう。一打席、一打席を大切にしていきたいし、僕の中で一日1本がノルマですから、1本を最初に打てば楽になります」 野球はタイミングのスポーツである。オコエと岡田の波長に加え、1本打ったことで、若い選手にありがちな力みが2打席目からも消えて、さらに波長が合ったことが猛打賞につながったのかもしれない。 オコエの進化が止まらない。