アウトドアでも災害時でも プラグインハイブリッド車の広がる可能性
8月末、群馬県にある嬬恋キャンプ場で、アパレルメーカーの『アーバンリサーチ』(本社:大阪府)とトヨタ自動車(本社:愛知県)の共同で火を使わないキャンプ『エレクトリックキャンプ』が開催された。会場のオートキャンプ場では、プラグインハイブリッド車(PHV)のプリウスPHVによって発電された電気を利用し、冷蔵庫、炊飯器などの家電を使って料理などを行い、火を使わず、小さな子どもと一緒に、安全にアウトドアを満喫した。このイベントには、100組の応募から選ばれた2組の家族が参加したが、中には生後10ヵ月の乳幼児もいたという。 PHVは、トヨタだけでなく日産、ホンダなどの国産車勢、メルセデスベンツやBMWなど海外勢も市場参入するなど、業界内で注目が高まっている。今回、業界初の試みとなった『エレクトリックキャンプ』。このキャンプで使用する電気に対し、プリウスPHVが供給できる電力量は約1週間分(1日の使用電力が約5kwh程度を想定)だという。一般の家庭電力使用量に換算すると、約4日間分の電気がプリウスPHVの発電によって賄うことができる。火を使わず、日常的な家電を動かすことができるため、電子レンジを使って、乳幼児のミルクや離乳食づくりなどが可能になるなど、小さい子どもがいる家族でも、気軽にキャンプが楽しめる。 さらに、レジャーだけでなく災害時にもPHVは活躍が期待されている。2012年には、宮城県警がプリウスPHVを導入し、停電時に信号機を動かした例もある。トヨタマーケティングジャパンの齋藤隆幸氏は「プリウスPHVこういった災害時や、非常事態にも貢献でき、世の中にも溶け込んで来ているので、さまざまな使い方があることも魅力の一つだと思います」と、話すなど、その可能性に自信をみせる。 アウトドア事情に詳しいキャンピングカージャーナリストの渡部竜生さんは、「もともとキャンパーにとって、アウトドアで電気を使いたいというニーズは以前からあった。PHVの登場で、場所を選ばず、電気を使ったキャンプを可能になりました。災害時にも頼れる存在になると言えるでしょう。例えば、寒い冬でも電気毛布を使えば、十分の暖がとれる。電気毛布の使用電力は60wh程度で、アイドリングしないでも一晩、車の中で過ごすことができる。PHVは燃費が良くて、走行距離も長く、一時的に電気の使えない場所へ避難したとしても、“移動する発電機”に乗っているとも言えるので、自宅で使っている家電を持ち込めば、不自由が少なくなる」と説明する。