“白杖”を目印につきまとわれ… 7割が経験 視覚障害につけ込む性被害の実態 デジタル化による弊害も
■当事者&社会ができること
大阪教育大学・特別支援教育部門の奈良里紗准教授は、視覚障害者ができる自衛の例として「歩行訓練士などの専門家に防犯上安全なルートを教えてもらう」「いざという時に駆け込める場所として、近所の“子ども110番”の家や店舗を把握」「見えないからこそ周囲の目を意識した服装や立ち振る舞いをする」などをあげている。 一方で、佐藤氏は「障害者がスカートを履いているのが悪い、などと言ってしまうのは良くない。逆に、これ(服装)しか対策がないというのが問題だ」と述べた。 実際の生活の中で周囲に望むことはあるか。アスカさんは「“何かお困りですか?”と声を掛けてくださると、助けてくれる人なのだと分かるのでありがたい」と答えた。 誘導の仕方については「その人によって右がいいか左がいいか違うと思うので、どう誘導したらいいか聞いていただけると良いと思う」とした。 佐藤氏は「外に出たら、いろいろな人から声を掛けてもらえる社会が理想。断られてもいいので、声掛けが必要だ」とした上で「私たち健常者側が、不安にさせない誘導の仕方を知っておくのも重要。基本的には自分に捕まらせることだが、なかなかこの発想がない。引っ張っていたり、押していたら、助けてあげてほしい」と呼びかけた。
■デジタル化による弊害も
今後の課題として、佐藤氏はデジタル化による情報格差を指摘する。「視覚障害者は“接触”が必要な障害だ。コロナ禍の影響で非接触社会になったことで、例えばセルフレジは目が見えない人は使えない」。また、「視覚障害者は情報障害者とも言われていて、画像が多いインターネットから情報を取り入れにくい」と説明する。 PCやスマートフォンには音声読み上げソフトがあるが、特にSNSなどでは画像が多く一般的な情報を得にくいという。アスカさんは「アプリの中で画像認証があったりすると、操作ができなくなって止まってしまう。個人情報を証明する写真も自分で撮影できないので、そこから先の登録ができない」と明かした。 導入が進んでいるセルフレジ、飲食店のタッチパネルなどについては「声を掛けられる人がいないので、そこには行けない」。続けて「どんどん自立が妨げられているような、自由が奪われている感覚だ」と訴えた。 (『ABEMA Prime』より)