ワタミの渡辺美樹会長兼社長（右）とサブウェイのジョン・チッジーCEO＝25日、東京都千代田区

居酒屋のワタミからサンドイッチのワタミへ―。外食大手ワタミの渡辺美樹会長兼社長は25日、サンドイッチチェーン大手「サブウェイ」とフランチャイズチェーン（FC）契約の締結と同社日本法人の買収を発表し、ファストフード業態を外食事業の新たな柱に育てる方針を明らかにした。サブウェイの国内店舗を現在の178店から20年後に3000店まで拡大させ、同規模の店舗数数を展開する日本マクドナルドに〝対抗する〟と宣言した。 ■バーガーでマックに勝てない 居酒屋業態が中心のワタミは新型コロナウイルス禍による来客数の激減で業績に大きな打撃を受け、居酒屋依存度の高い経営からの転換するため新業態の育成を急いでいた。サブウェイ側は国内の外食産業を熟知するパートナーと協力することで店舗拡大が図れると判断。両社の思惑が一致し、今回の契約締結に至った。 渡辺氏は「日本市場が小さくなる中、現在ワタミが展開している居酒屋や寿司屋、焼肉店は（競争の激しい）レッドオーシャンで、今後の店舗展開は難しい」と指摘。ファストフード業態は「テークアウトやデリバリーができる（競争相手が少ない）ブルーオーシャンだ」と強調した。 ファストフード市場ではマクドナルドを代表とするハンバーガー業態が席巻していることから、「ハンバーガーではマクドナルドに勝てないため、違う対立軸が必要」と、サンドイッチ業態を選択した理由を説明した。ハンバーガーに比べて低カロリーで、注文を受けてから丁寧に調理する工程が差別化につながるとし、「マクドナルドに対抗できる業態があるとしたらサブウェイしかないと確信した」とも述べた。 ■目標は売上高2000億円 サブウェイは約6・5坪の広さで出店できるため、国内の商業施設や駅前、大学構内、ロードサイドなどに約3000店の出店余地があるとワタミは分析する。来年2～3月に都内に第1号の旗艦店を出店し、10年間で直営店とFCで計250店、その後は年間150店の出店を目指す意向だ。 円安の継続による訪日客需要の増加を見込んでおり、20年後に3000店を展開できれば、国内の外食売上高約3000億円のうち約2000億円をサブウェイで稼げると試算する。「ヘルシーでフレッシュで、そして女性と若者が好む」（渡辺氏）というサブウェイのブランド力を生かし、居酒屋や高齢者向け宅食のイメージが定着したワタミブランドの刷新を急ぐ。