鈴木康友静岡県知事 浜松新野球場「期限設けず議論」 新春インタビュー
静岡県の鈴木康友知事は2日までの静岡新聞社のインタビューで、浜松市の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場の規模・構造について、期限を設けず議論すべきとの認識を示した。「議会の議決が必要で、民間がどこまで投資をするかを含めると簡単には決まらない。複雑な方程式を解くようなものだ」と述べ、決定には相当な時間がかかると強調した。 県と市は今月中に協議会を新設し、整備に向けた議論を本格的にスタートさせる。野球場本体の事業費は最大370億円とされ、費用負担が今後の焦点となりそうだ。 知事は民間企業による投資意欲などを見極めた上で、協議会で最適な規模・構造を固めると説明。基本計画で公表した①1万3千人の屋外型②2万2千人の屋外型③2万2千人の多目的ドーム型―の3案がたたき台になるとした。知事選で訴えた開放型ドーム案は「投資を抑えて多目的に活用できるということで言ったが、最近の気象状況を考えるときつい」と述べ、主張をトーンダウンさせた。 浜松市長時代に野球場整備の費用負担を覚悟していたと説明。中野祐介市長への引き継ぎで「応分の負担をしなければ県も決断できない。ほかの施設とのバランスもある。市も責任を持って投資を」と申し送りしたことも明らかにした。 このほかの主なやりとりは次の通り。 ―どんな1年にしたいか。 「2025年は鈴木県政スタートの年と位置付け、いろいろな分野で先鞭(せんべん)をつけたい。産業政策はスタートアップや企業誘致とともに1次産業も大切だ。特に転換点に立つ茶業は(潮流に)乗り遅れてはならない。観光も産業に位置付け、スピード感を持って取り組む」 ―リニア中央新幹線問題の手応えは。 「動き始めた感がある。沿線自治体の首長とは旧知の仲で違和感なく入っていけた。県も課題を47項目に整理してあった。流れはできていて判断するだけだった」 ―県財政の課題は。 「財政運営にはこれまで中長期的な視点がなかった。歳入不足はすごく気になる。(25年度当初予算編成でも)歳入不足に緊急対応するが、毎年自転車操業ではまずい。中期財政計画を作り、財政健全化に取り組む。走り出した大型事業は進める必要がある。できるだけコストを抑え、うまくバランスを取る」 ―県議会との関係をどう築くか。 「知事選が終わり、ゼロからのスタート。自分にしこりはないが、一定の時間はかかる。県政を進める方向性はどの会派も変わらない。無所属議員も含め、丁寧に信頼関係を構築していきたい」 ―知事選で訴えた県東部の医療体制については。 「指導医を派遣して若手医師の受け皿になる病院を作らねばならない。浜松医科大や順天堂大医学部付属静岡病院に早いうちにあいさつに行き、連携して東部の医療に手を打っていく。医師を増やしても医療環境が整った地域に行ってしまい、強引に配置しても定着しない。(知事選の)最初は安易に医大誘致と言ってしまったが、医師が経験を積み重ねられるような環境を整備しないと医師偏在はなくならない」
静岡新聞社