ズーズー弁で落語!?東北弁落語が切り拓く笑いの魅力とは
「シャイ」な東北人気質うまく捉える
これほど客席が盛り上がるのはなぜか。それは、東北弁落語がシャイと言われる東北人気質をうまく捉えているからだろう。 東北弁落語は1997年に、仙台を中心に活動したフリーアナウンサーで元国会議員の故・今野東氏が、「東北弁の文化発信」をめざして立ち上げた東方落語に始まる。地元テレビ局で番組パーソナリティーなどをしていた遊花さんは同年、東方落語に入門。2012年には三遊亭遊三一門に入り、プロの落語家として東北弁落語に磨きをかける。 そんな遊花さんは、東北の聴衆の特徴を「静かに熱い」と表現する。過激なネタや下ネタを嫌い、声を出して笑うことに遠慮がちだが、ひとたび親近感を覚えると思い切り乗ってくれる。「東北弁で演じると、落語の中の世界が身近な東北の風景や人物に置き換えられるんですね」と遊花さん。方言が登場人物の滑稽さを増幅し、一味違う落語の面白さを伝えてくれるのだ。 東北弁落語は2014年、東京に進出。江戸落語の代表的な寄席の一つ、新宿末廣亭の高座に遊花さんが上がった。今年も5月1日に江東区の深川江戸資料館で演じる予定だ。 魅知国寄席も東北各県に広がりつつある。これまでは仙台と山形で催されてきたが、2月7日に岩手県でも初めて開かれた。3月27日には福島県で初開催の予定で、「当たり前のように寄席を楽しめる環境を東北に」という遊花さんたちの夢に一歩ずつ近づいている。 (平間真太郎/THE EAST TIMES)