渡辺雄太が6季プレーのNBA「まともな精神状態は少なかった」 平均在籍4~5年 目の前で解雇 世界一華やかで過酷な舞台
NBAで日本人最長6シーズン目を終えた渡辺雄太が20日、自身のインスタグラムでライブ配信を行い、「来季からは日本に帰ってプレーをさせていただきます」と表明した。 【写真】会見で胸中を明かす渡辺雄太 決断に至った理由について、渡辺は「単純にバスケットがとにかくしたい。日本もレベルが高くなっているので、自分がどれだけやれるか模索して努力して、バチバチやり合う楽しさを日本でまた感じられれば」と説明した。 また、過去に自ら立てた目標についても明かし、「20代は逃げない、どんな苦労でもするから米国にこだわり続けて、どんな状態になっても絶対にアメリカでやり続けると目標を立てた。20代の間は絶対逃げない、諦めないところは自分の中ではクリアできたかな」と語った。 NBAはバスケットボール界において世界最高峰の舞台。渡辺以前に日本人でプレーしたのは田臥勇太ただ一人だった。在籍年数は平均でわずか4~5年。本契約を結べるのは1シーズン450人で、さらに毎年、ドラフトで60人、それ以外にも新たに入ってくる選手がおり、とてつもなく狭き門だ。 渡辺のNBAキャリアは、2018年にグリズリーズとのツーウェー契約からスタート。その後もキャンプ契約や無保証で、いつも“崖っぷち”からわずかなチャンスをものにしてきた。 渡辺は、「チームとしてはいつでも僕を解雇していい状態が何年も続いた。ほんとに全ての、自分の一挙手一投足を監視されている感じだった。正直、まともな精神状態でプレーできてた時期は少なかった」。同じような立場から、目の前でカットされてきた仲間、ロッカーから名前がなくなり、チームメートの解雇を知ることもあった。「次は自分かもしれない」と、常に勝負だった。 NBA6季在籍で、通算213試合出場。自己最多はラプターズ時代の2021年12月26日キャバリアーズ戦で26得点を挙げた。シーズンを通しては、ネッツ時代の2022~23年シーズンが最高で1試合平均5・6得点、3P成功率は44・4%を記録。スーパースター、ケビン・デュラントからも信頼され、“好連係”で何度も沸かせた。不可能と思われていたことを可能にし、ファンに夢を与え続けてきた渡辺。「20代は苦労して苦労して、自分が自分らしさを見つけられた気がする」とコメント。次は日本で、新たなスタートを切る。
報知新聞社