【次世代オールシーズンタイヤ】 ダンロップ発表の「シンクロウェザー」 路面状況次第でゴムの特性を最適化
ヨレない素直な走り、冬以上に好印象
冬性能は上々、でもASタイヤに関して個人的に気になっていたのは夏の方だった。 たまにしか雪が降らない場所に住んでいる筆者のようなドライバーにとって、冬性能はあと少しだけ氷を掻いてくれればやり過ごせる気がしている。だが3と言わず3.9シーズンくらいを過ごすドライ性能において、以前ASタイヤに失望させられたからだ。 春以降もスタッドレスを履き続けた場合に気になるのは騒音と、早めに操舵した際のタイヤのヨレと遅れてやってくる戻り、そしてウエット性能の低さである。 だが今回、テストコースを走りはじめてすぐに夏タイヤに近い剛性感を感じることができた。 アクティブトレッドの真価である水や温度に反応する「ウェザースイッチ」の切り替わりの部分(コンパウンド内のイオン結合の変化だという)の体感はなかなか難しい。 けれど定常円旋回で試したウエット性能自体は、ケース剛性が高いだけにトレッドがしっかりと接地しており、十分なグリップが感じられた。 実際にテストコースではル・マンVプラスと比較したのだが、切りはじめのコーナリングフォースの高まりはシンクロウェザーの方が穏やかだが、そのクセのない感じが上質な夏タイヤらしさすら感じさせてくれたのだ。この感触は装着車の選ばないという特性にも繋がっていると思う。 冬と夏の市場を通してダンロップが「次世代」という言葉を使いたい理由がよくわかった。市場の反応がはっきりするのはまだ先の話だが、シンクロウェザーがASタイヤの基準を引き上げたことは確かなのである。
吉田拓生(執筆) AUTOCAR JAPAN(編集)