《ブラジル》虚偽広告動画の俳優は犯罪者?=医師役として効果吹聴で捜査
サンパウロ州市警は、医師を装い、劇的な効果を謳った医薬品の宣伝広告に出演した俳優らの捜査を進めている。彼らが出演したインターネット動画は、専門家を登場させることで製品の信憑性を高めようとするもので、「フィクション」等の警告なしに視聴者に真実のように見せかけているとして問題視されている。国家広告自主規制審議会(Conar)も、虚偽証言を含む宣伝の倫理調査を進めている。29日付CNNブラジルが報じた。 同件は7月、サンパウロ州医師会(Cremesp)に通報され、市警と検察局が調査することになった。 22日にサンパウロ市内で聴取を受けた俳優のフェルナンダ・パジーリャ氏は、これまでにサプリメントなどを販売する3社と契約を結び、眼科医ロベルタ・ダマセーノ、婦人科医ロベルタ・ザネッチ、薬剤師マリア・フェルナンデスの3役で動画出演していた。 彼女は報酬を受け取り、動画に出演したことは認めているが、この場合の責任は契約者にあり、フィクションであることを示す警告を表示するべきだったと主張した。 動画出演していた別の俳優のロドリゴ・ゴンザレス氏は、泌尿器科医役で不妊治療に関するアプリの広告に出演したと説明しており、アーティスト活動の一環で広告に出演したが、その用途は知らなかったと説明した。 ある動画で、彼は泌尿器科の専門医を演じ、架空のインタビューの中で、キュウリが男性の勃起にどのように役立つかについてのヒントを語り、最後に「このようなヒントをさらに知りたい場合は、下のリンクをクリックしてください」と勧めている。 Conarは、偽証的な証言などが含まれる広告に対し、7月から3件の倫理的措置を開始している。同評議会は、専門家や権威の証言の偽装は法や倫理規範に反するとし、特に食品補助製品が治療や健康への直接的な効果を謳うことは認められないと強調している。国家衛生監督庁(Anvisa)も、同庁に登録されていない医薬品の治療効果を謳うことは許されないと指摘している。 またCremespは、広告に出演者が俳優である旨の表示がなかったことを指摘し、虚偽の広告の即時削除を要請した。消費者苦情サイトには、製品購入後に商品が届かないとの報告もあった。 さらに、「製品の効果があった」という架空の患者の証言を25レアルで売るサイトも確認された。別のサイトには商品販売広告に使う体験談を販売している人による広告も数多く掲載されている。 一方、俳優が所属するサンパウロ州娯楽業労働者組合(Sated―SP)は、薬品製造業者が責任を負うべきとし、広告活動の規制を支持する立場を表明した。また、契約に基づき演技を行った俳優に責任を負わせることは不当であると主張した。