年齢重ね「若い女の子」の魅力薄れるの不安だった オーバードーズ経験の女性が胸中語る 広島
若者はなぜ医薬品の過剰摂取(オーバードーズ・OD)をするのか。ODを繰り返し、その後に立ち直った広島市の女性(28)に経験を聞いた。 【一覧】薬物依存患者の主な薬物 4年ほど前は週1、2回、気分を上げるために市販薬と処方薬でODをしていた。飲むと体がふわふわし、頑張れそうな気がした。何でもできそうな万能感も出てきた。その一方で、激しい頭痛と吐き気がした。幻覚が見えたり、息苦しくなったり。しんどさのあまり叫んだこともあった。家族が救急車を呼び、2、3回搬送された。 当時はパートで販売の仕事をしていた。自分には社会に売り込めるものが何もない上、年齢を重ねてどんどん「若い女の子」の魅力もなくなっていくと焦っていた。職場では男性上司から「彼氏はいるの」「どうしてつくらないの」としつこく聞かれるなどセクハラをされていた。体重が約15キロ減るほどストレスがたまっていた。 ODから抜け出せたのは、あるユーチューバーを知り、いつか会いたいと思うようになったのがきっかけだった。信頼できる支援者と面談を重ね、今は「私は私でいい」と思える。1日一つ、良いことを見つけるようにしている。「この花かわいいな」「擦れ違った人の髪形すてき」。生きていく希望が湧いてくる。 若者のODは全国で急増している。国は2020年1月~23年6月に全国の52消防本部が救急搬送した「医薬品のODが原因と疑われる人」の数を調べた。22年に搬送された10代は1494人で20年から47%増。20代は3295人で20年から21%増えていた。
中国新聞社