【図解】家計を直撃する「インフレ」「円安」「金利上昇」…いま理解しておくべき経済の基本【経済アナリスト森永康平氏が解説】
「インフレになると賃金が上がる」という本来あるべき経済サイクルとは違い、現実には「物価は上がれど賃金は上がらず」という状態に陥っています。円安基調や金利上昇などもあり「このままどんどん貧しくなっていくのでは」と、不安を抱いている人も少なくないでしょう。本記事では、人気経済アナリストの森永康平氏氏による著書『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)から、「インフレ」や「円高・円安」、「金利」など、現状を理解するのに役立つ経済の基礎をわかりやすく解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
登場人物 森永康平…経済アナリスト。竹田と宮野に金利・為替の知識を教えてくれる。 竹田紗香…輸出企業である自動車部品メーカーに勤める会社員(20代)。出世のため仕事に打ち込む。 宮野聡…輸入企業である食品加工の企業に勤める会社員(20代)。住宅購入や投資を検討している。
インフレになると景気がよくなるってホント?
森永:一般的には、インフレになると物価が上がり、それに伴って給与水準も上がるとされています。 竹田:本当ですか?物価はずっと上がっているのに、給与が上がってるように思えません……。 森永:実はインフレには「いいインフレ」と「悪いインフレ」の2種類があり、悪いインフレになると物価だけが上がってしまいます。この悪いインフレは「コストプッシュインフレ」と呼ばれます。 宮野:コストプッシュ?はじめて聞きました。 森永:需要ではなく、生産コストや輸入コストの上昇が原因で発生するインフレです。反対に、いいインフレはモノやサービスの需要拡大で発生するインフレのことで、「ディマンドプルインフレ」と呼ばれます。
「円高」と「円安」、どっちが景気にいいの?
竹田:宮野くん聞いて!円安の影響で業績が上がってボーナスが増えたの! 宮野:僕の会社は円安の影響で輸入コストが上がって大変……。同じ円安なのにどうして違う影響が出るんだろう? 森永:円安といっても、立場によって受ける影響は違います。そもそも円安とは、外貨に対して日本円が安い状態のことです。100円で1ドルの商品を買えていても、円安になると110円、120円など、より多くのお金を払うことになります。 竹田:僕の会社は材料を輸入しているから、円安だとコストが増えるんですね。 森永:その通りです。円安といっても一概に善し悪しを決めることはできません。反対に、円高になれば外貨に対して円の価値が上がるので、100円で1ドルの商品を買っていたのが90円、80円とより少ない金額で買えるようになります。主に為替の影響を受けて円安・円高になります。