夫の葬儀後、押し寄せる〈死亡に伴う各種事務手続き〉に大パニック…どこから手をつければいいのか【相続専門税理士が解説】
ご家族が亡くなると、遺族の方は悲しみに暮れる間もなく、葬儀や法要、諸々の重要な事務手続きに奔走することになります。どのような手続きを、どのような順序でおこなえばいいのでしょうか。FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
葬儀後の四十九日法要、相続、事務手続き…大変過ぎてパニック
夫が亡くなり、ようやく葬儀が終わりました。しかし、このあと四十九日の法要や、相続、事務的な手続きが必要になると聞いています。いまは頭が混乱してしまい、やるべきことがわからず、焦るばかりでなにも手につきません。どうたいらしいのでしょうか。遺言書もありません…。 68歳パート・女性(神奈川県厚木市) 大切なご家族が亡くなり、動揺されているのですね。まずは四十九日の法要について説明しましょう。ご家族が亡くなると、葬儀を終えたあとに四十九日法要が執り行われます。 仏教の教えでは、故人の魂は四十九日まではこの世に留まって七日ごとに裁判を受け、四十九日目の裁判で極楽浄土に行けるかどうかが決まるとされており、故人が極楽浄土に行けるように行う供養が四十九日法要なのです。 本来、四十九日の法要は、亡くなってから48日目に行います。しかし、当日が平日になってしまうと、親族やご家族も集まることが難しいため、ご親族やご友人のスケジュールを調整し、48日目よりも前の週末に実施するケースも多くなっています。また、友引に葬儀を避ける風習もありますが、最近では日取り上の縁起はあまり気にしなくても問題ありません。 また、最近では遺骨をお墓に納める納骨式も四十九日法要と同じ日に行われることが多くなっています。 四十九日法要は主に、お寺・ご自宅・セレモニーホールなどで行われます。日取りが決まり次第速やかに、会場を手配するようにしましょう。
死亡に伴う事務手続き➀…相続開始前の確認事項
葬儀が終わると、待ち受けているのは相続を含めた様々な事務手続きです。何から手を付ければよいか、わからない方もいらっしゃることでしょう。 まず、考えなければならないのが、相続に関する手続きです。 相続は、遺言書の有無で必要な手続きが変わってきます。 もし故人が「自筆証書遺言」を遺していた場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。 今回の相談者様は「遺言書はなかった」とのことなので、法定相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」をすることになります。 なお、法定相続人を確定するためには、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得することが必要です。 法定相続人は配偶者と子どもだけ、ということが明らかであっても「戸籍を調べたら実はほかに子どもがいた」といった万が一の事態がないことを法律的に証明するため、戸籍謄本を用意しなければならないのです。