ロシアとのハイブリッド戦争 エストニア首相の頭を悩ます
キリンギ ノーメ、エストニア、5月22日 (AP) ― エストニア国防軍最大の年次演習「春の嵐」は、14,000人近くの徴集兵、予備兵、現役兵、エストニア防衛連盟のメンバー、NATO加盟国の兵士が参加して、5月6日から17日まで行われた。 この演習を視察したエストニアのカッラス首相は、同盟国間の協力に満足したようだが、ハイブリッド戦争が頭をよぎったと語っている。 ロシアと国境を接するバルト三国最北端のエストニアでは、破壊工作と電子戦、さらに諜報戦が急増しており、これらはすべてロシアの仕業だという。 既に多くのロシア情報工作員が制裁を受けているため、西側当局者や専門家によれば、クレムリンは戦術を転換し、サイバー攻撃、選挙干渉、偽情報、プーチン大統領の敵への攻撃など非軍事戦略―いわゆるハイブリッド作戦のために別の工作員を雇っているという。 エストニアでは今年、モスクワのためのスパイ容疑で大学教授が逮捕起訴され、外交官の隠れ蓑にロシア軍事情報機関が組織したとされる一連のテロ事で、13人が逮捕された。さらに、フィンランドとエストニア第二の都市タルトゥを結ぶフライトが、ロシアによるGPS信号妨害によって中断された。 エストニアはスパイ活動を積極的に追及し、それを公表することで知られており、人口130万人のこの国では、他のヨーロッパ諸国よりも常に国民一人当たりのロシア工作員の逮捕件数が多い。 最近の傾向で、ロシアは現地人にテロ工作を委託しており、ビデオゲームのプラットフォームで比較的安価に工作員を募集することもあるという。 そのため、テログーループ間のつながりを特定、ロシアまで突き止めることが難しくなっていると専門家は指摘する。 ロシアは何十年もの間、欧州での攻撃で非難されてきたが、エストニア当局者や安全保障の専門家は、ロシアに対処するための集団としてのメカニズムがないと指摘し、欧州連合によるより積極的なアプローチを求めている。 (日本語翻訳・編集 アフロ)