豊昇龍が九死に一生「勇み足」で6連勝 朝稽古〝完全非公開〟で臨戦思考へ/九州場所
大相撲九州場所6日目(15日、福岡国際センター)大関豊昇龍(25)が熱海富士(22)の「勇み足」で星を拾って6連勝とした。他の2大関は、新大関大の里(24)は若隆景(29)に押し出されて2敗目を喫した。若隆景は先場所に続いて大の里に連勝。琴桜(26)は阿炎(30)を押し出して1敗を守った。勝ちっ放しは豊昇龍と平幕阿武剋(24)の2人となった。 十中八九、白星がこぼれ落ちかけた。左足一本。寄られた豊昇龍のかかとは俵の上に乗っていた。だが、土俵下に落ちる大関より一瞬速く、熱海富士の左足の親指が蛇の目の砂をはいていた。物言いがつき、紙一重の「勇み足」だ。 「何より勝てたのがよかった。(行司軍配は)俺に上がっていたから何も考えていなかった」 差した右腕を抱え込まれ、189キロの巨体と胸が合った。喉輪で攻められ一気に寄られながら、勝ちを拾った。大関として8場所目。初日からの6連勝は十両以上の関取になって初の経験だ。 福岡・糸島市に稽古場を構える立浪部屋は師匠の立浪親方(元小結旭豊)の判断で、この日から報道陣も朝稽古が見られなくなった。場所中は一般への公開はされておらず、これで完全非公開に。同親方は「連勝しているので、(本人が)ピリピリしてくる。集中させたいから」。異例の〝立浪のカーテン〟は、大関として初の優勝へ向け早くも臨戦思考へ導こうとする試みだ。 熱海富士には5月の夏場所から3連敗を喫していた。合口の悪い相手との連敗も止めた大関は「相撲内容はよくなかったけど、そこに注意して一日一番しっかり集中して頑張りたい」。 「相撲に勝って勝負に負ける」。土俵の格言を裏返せば、勝ち運を引き寄せる「運も実力」のうち。場所を制するには、こんな白星こそ生きてくる。(奥村展也)