声の力で選手を鼓舞 入場行進司会の舞鶴高・橋本さん、深み求め野球勉強 /大分
<センバツ甲子園> 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で23日にある第91回選抜高校野球大会の開会式で、県勢として7年ぶりに明豊と大分が入場行進する。その司会進行を任されたのは、大分舞鶴高校放送部の3年、橋本由紀さん(18)だ。「任されてうれしい。選手を鼓舞できるように読み上げたい」と、スタジアムに響く声をイメージしながら練習を重ねている。【田畠広景】 ◇県2校「気持ち入るかも」 将来の夢はアナウンサー。きっかけは小学校低学年の時の朗読会で評判が良く、母親からも「読むことに向いている」と褒められたことだった。中学で進路を決める際、放送部のある大分舞鶴高校を選んだ。 入部当初から目標は「全国で1番」。放送室にその決意を紙に書いて貼った。平日は夜まで、土日も朝から昼過ぎごろまで、発声練習や文章を声に出して読む訓練を繰り返してきた。地声は高いが、低い声を出す練習もして高低差を表現できるようになった。同級生と読み合って互いに良い点、悪い点を指摘し合いながら技術を向上させてきた。声をしっかり出すため、同じ姿勢をとり続ける地道な体幹トレーニングにも積極的に取り組んだ。 橋本さんは、数々のコンテストで入賞するなど着実に結果を出していった。そして大きなステップアップとなったのが、昨夏のNHK杯全国高校放送コンテストだ。都道府県大会を通じ4000人超の参加があったアナウンス部門で優勝。「信じられなかった」 コンテストで読み上げた文章は、強豪の大分舞鶴ラグビー部について。「明るい声がスポーツに合っている」と先生から勧められ、この題材に決定。「ルールが分からないと選手に失礼」と考え、ラグビーについて勉強し、同部OBに話を聞いて文章を作成した。そして「OBの思いが伝わるよう」納得がいくまで何度も読み続けた。全国優勝は、この努力が実ったもの。甲子園の開会式本番に向けても、読み方に深みを持たせようと野球のルールを勉強している。 今春、慶応大総合政策学部に進学する。「ニュースなどをきちんと読めるようになるため、さまざまなことを勉強したい」という橋本さん。開会式では「県の代表として大分、明豊はより気持ちを込めて読んでしまうかも。美しく、『うまいな』と思ってもらえるようにしたい」。芯の通った声が球場の選手、観客らの気持ちを盛り上げてくれそうだ。