<球児よ、大志を抱け>センバツ クラーク記念国際/上 先輩の分も全力で /北海道
◇意欲燃やし、ひと冬鍛錬 マスク越しに伝わる選手たちの表情は、喜びに満ちあふれていた。雪深い深川市のクラーク記念国際に28日に届いた一足早い「春」の便り。白取太郎主将(2年)は「甲子園で一番明るいチームとして、クラーク高校に初勝利を持ち帰りたい」と決意を語った。 三つの都道府県以上から生徒を集める「広域通信制」高校として1992年に創立。野球に特化したスポーツコースは2014年に開設した。野球部の指導者には、駒大岩見沢(14年3月廃校)を春夏計12回の甲子園出場に導いた佐々木啓司監督(65)を招へいした。 創部時の部員は9人。ゼロからスタートしたチームは初の公式戦でコールド負けした。それでも佐々木監督の指導の下、選手は着実に力を付けていった。冬は屋外練習がしにくい道内チームにとって大きな利点となる屋内練習場や野球部寮も完成し、野球に取り組む環境も整った。選手と寝食をともにする佐々木監督は「ここでの生活がポイント。生活自体がきちっとできないと、大きな差になる」と力を込める。 昨年夏の北北海道大会は1回戦で敗れた。佐々木監督は「自分にも厳しく、他人にも厳しい。チームのために尽くす姿を見せることができる」として、新チームの主将に白取を指名。白取主将はチームの屋台骨を支え、昨秋の全道大会では初優勝を果たした。 創部3年目の16年に夏の甲子園に初出場。1回戦で敗れたが、チームにとって大きな自信となった。20年夏の道独自大会は北北海道の頂点に駆け上がったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で夏の甲子園は中止となり、当時の選手たちは悔しい思いをした。そうした先輩たちの姿を目に焼き付けた白取主将は「甲子園では先輩たちの分まで全力でプレーしたい」と意欲を燃やしている。 佐々木監督にとってセンバツの舞台は駒大岩見沢時代の08年以来、14年ぶりとなる。「春の甲子園という目標を持った形でオフシーズンに練習ができている。非常に楽しみだ」。ひと冬鍛錬し、球春告げる甲子園でどんな大輪の花を咲かせるのか。指揮官は、創部9年目で選手たちが挑む新たな高みに思いをはせる。【三沢邦彦】 ◇ 第94回選抜高校野球大会に初出場するクラーク記念国際。大志を抱く球児たちを紹介する。