中国と韓国の貿易競争が激化
【東方新報】中国と韓国の産業部門は、10年前には補完関係にあったが、現在はミドルからハイエンドの製造業において競争が激化しており、この傾向は今後さらに強まるとの見方が、市場ウォッチャーの間で広がっている。 世界で7万3000社が加盟する「韓国貿易協会(KITA)」が最近行ったインタビューの結果によると、中国が引き続き開放政策を拡大し、造船、電気自動車(EV)、折りたたみ式スマートフォン製造などの分野で躍進を続ける中で、韓国のビジネスリーダーの間に、中国の競争優位性が拡大することへの懸念が高まっている。 「韓国貿易協会」が中国で事業展開する韓国企業と外国企業の幹部30名に行ったインタビューでは、半導体を除くほとんどの産業で中国が韓国に追いついただけでなく、すでにいくつかの分野では追い越したと指摘する声が多く聞かれた。また、中国にいて感じる危機感は、韓国国内で感じるよりもはるかに強いとも言っている。 同協会の報告書には、自動車、パーツ、バッテリー、石油化学製品、航空、流通、ゲーム、バイオテクノロジー、金融など、幅広い分野の経営陣が抱える懸念が記されている。 ソウルに本部を置く「大韓貿易投資振興公社(KOTRA)」の黃在元(ファン・ジェウォン、Hwang Jae-won)中国市場本部首席代表は「2022年まで韓国は中国との貿易黒字を維持し続けていた。その理由は、中国の数十年にわたる都市化の進展により、さまざまな産業分野で韓国の設備、材料、部品に対する旺盛な需要が続いていたことによる。しかし、中国の急速な技術進歩により、多くの分野で中国企業が韓国企業を徐々に追い越すようになった。このため中国が韓国製品を輸入する必要性が低下、そして23年には韓国は対中貿易で初の赤字を記録することになった」と説明する。 黄氏は「韓国はこの流れに注目している。中国との貿易の将来を工業部品や機械などの従来の工業製品に依存し続けるのであれば、対中貿易の長期的な成長は難しいと認識している。それで韓国は、化粧品、衣類、食品などの消費財の対中輸出を重視するようになり、同時にサービス貿易の可能性も模索し始めた。これは、現在の韓国と中国の経済および貿易関係における初めての大きな調整だ」と指摘する。 北京に拠点を置く中国機械工業連合会の専門家委員会の陳斌(Chen Bin)副会長は「中国は幾つかの先進的な取り組みを通じて、電子機器、無人航空機、自動車、LNGタンカー、新エネルギー技術といった分野に重点的に力を注ぎ、韓国の伝統的に強みのある産業と直接競合している」と述べた。 中国社会科学院世界経済・政治研究所の倪月菊(Ni Yueju)は「電気自動車分野で中国が著しい優位性を獲得し、競争の構図が根本的に変化したことで、世界の自動車市場における中国と韓国の競争はますます激化している」と話す。 倪氏は「中国と韓国が政府レベルと企業レベルで協力関係を強化し、自動車産業における革新と発展を共同で推進すべきだ。特にバッテリー開発、次世代のインテリジェント・コネクテッド・ビークル、人材交流の分野における協力が有効である」と指摘する。 税関総署の統計データによると、今年の最初の8か月間、中国にとって韓国は依然として第4位の貿易相手国であり、貿易総額は1兆5100億元(約30兆5926億円)で、前年同期比8パーセント増加し、同期間の中国の対外貿易総額の5.3パーセントを占めている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。