札幌やじ訴訟の原告男性 「拡声器で妨害とは別」「つばさの党での引き合いは迷惑」
令和元年、札幌市で演説中の安倍晋三首相(当時)に「辞めろ」「帰れ」などやじを飛ばした男女が北海道警の警察官に排除された問題を巡り、札幌地裁は「表現の自由などが違法に侵害された」として、道に賠償支払いを命じた。2審の札幌高裁は1審判決の一部を取り消したが、1審の司法判断が演説妨害の正当化に利用されたとの指摘がある。原告男性の大杉雅栄氏(36)が産経新聞の取材に応じ、「肉声でやじを飛ばしただけで演説が不成立になったわけではない。拡声器などを用いた選挙妨害と一緒にしてほしくない」と述べた。 【写真】原告男性の大杉雅栄氏 ■「札幌はあくまで肉声」 ──4月28日投開票の衆院東京15区補欠選挙で、政治団体「つばさの党」陣営による他の候補への妨害行為をどうみている 「人の演説会場で拡声器を使って罵詈(ばり)雑言を浴びせるなどして、演説を成り立たせなくしている。演説妨害で立件されても仕方ないレベルだろう。(つばさの党陣営が主張している)相手の候補者の考えを知りたいなら公開質問状でも公開討論でも方法があるはずだ」 ──つばさの党幹部はX(旧ツイッター)に「候補者以外の安倍へのヤジが合法な時点で、候補者である俺らが違法なわけがない。北海道のヤジも、俺らがやったヤジも全く同じ」と投稿し、大杉氏らのやじを念頭に行為を正当化している 「札幌での事案はあくまで肉声のやじで、表現の自由の範囲内と裁判所も判断している。実際、被告である北海道警でさえ、やじは演説妨害との主張をしていない。つばさの党の事案とは大きく異なり、引き合いに出されるのは迷惑だ」 ──肉声でもやじを飛ばせば、平穏に演説を聞きたい人の権利を邪魔しているのでは 「静かに演説を聞く権利というものはあるのだろうか。閉ざされたプライベート空間ならともかく(当時やじを飛ばした)札幌駅前は公共空間だ。そこには安倍氏の主張に対し、賛成の人も反対の人もいる。多少のノイズはありうるし、異論を口に出せるのが民主主義社会というものだ」 ■「従前通り選挙違反取り締まりを」