EUがついに米CIAのコワ~イ施設を断罪!
リトアニアに有罪判決を下した
米中央情報部(CIA)と聞いて何を思い浮かべるだろうか。親米イメージを傷つけかねないため、CIAの残忍さが日本で報道されることは少ない。だが、有名なグアンタナモ湾にある収用施設で、拷問が行われていたことくらいは記憶に残っているかもしれない。 女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 この施設を運営していたのはCIAである。どうやら、CIAはアメリカという国の安全保障を守るために、世界中でやりたい放題の傍若無人なふるまいをしてきたらしい。そして、いまでもこっそりと拷問をつづけているのかもしれない。 だが、そんなCIAと連携して、自国において拷問施設を許可し、大いに米国のために活動してきた国はその事実を認めたがらない。そうしたなかで、2024年1月16日、欧州司法裁判所が出した興味深い判決がある。それは、テロ組織、アルカイダの斡旋者および資金管理者の疑いで、グアンタナモ湾の米軍事委員会で裁判中のサウジアラビア国籍の男性、アル=ハワウィによる訴訟にかかわっている。 彼は、2005年から2006年にかけて、CIAが運営するリトアニアの秘密施設に拘束された際、拷問、虐待、未承認拘留について複数の訴えを起こした。欧州司法裁判所は、リトアニアがアル・ホワウィの申し立てを効果的に調査せず、またCIAの秘密抑留計画に加担したため、欧州人権条約第3条(非人道的または屈辱的な待遇/調査の禁止)に違反し、第6条第1項(合理的な期間内に公正な裁判を受ける権利)、第2条(生命に対する権利)および第3条(死刑廃止)、ならびに第6議定書第1条(死刑廃止)の違反があったと全会一致で判断したのである。裁判所は、リトアニア政府に対して、アル=ハワウィに、非金銭的損害に関して10万ユーロ(約10万8000ドル)、費用および経費に関して、申請者の代理人であった非政府組織に3万ユーロを支払うよう命じた。
CIAによる「特別移送」
アル・ホワウィは、1968年生まれのサウジアラビア国籍で、現在、キューバの南東にあるグアンタナモ湾米海軍基地の収容施設に拘留されている。彼は、2001年の「9.11テロ」後のいわゆる「対テロ戦争」中の2003年3月にパキスタンで捕らえられた。問題は、その後、米国当局の拘束下に移され、リトアニアも含むとされるさまざまな国のCIA秘密拘禁施設に秘密裏に拘束されたという事実にかかわっている。とくに、2005年から2006年にかけてリトアニアのCIA秘密拘禁施設で拘束されたとされる、米国政府によるアル=ハワウィの「特別移送」が訴訟対象となった。 「特別移送」とは、拷問や残虐な、非人道的な、あるいは品位を傷つけるような扱いを受ける現実的な危険性を伴う、通常の法制度の外での拘禁や尋問を目的とした、ある管轄区域や国から別の管轄区域や国への人の移送を意味する。最近の調査によると、彼は2005年2月18日か10月6日に、コードネーム「Detention Site Violet」と呼ばれるリトアニアのCIA秘密拘禁施設に移送された。リトアニアから別の秘密施設(アフガニスタン)に移送されたのは2006年3月25日のことで、その際、彼は緊急医療を必要としていたが、地元当局はそれを提供することができなかった。被収容者に対する緊急医療の欠如により、リトアニアの秘密施設は閉鎖された。結局、2006年9月5日、彼はグアンタナモ湾の米軍施設に移送され、現在に至っている。 アル・ホワウィによると、彼はアルカイダによるテロ活動に関する情報を得るため、CIAによって拘留中ずっと「強化尋問技術」を受けていた。彼は、CIAの拘束下での残虐な扱い、すなわち異物による肛門性交(ソドミー)によって引き起こされた大腸痛や直腸痔、慢性的な偏頭痛、高血圧、難聴、耳鳴り、不眠症など、多くの深刻な病気に苦しんでいる。なお、2014年2月、リトアニアでアル=ハワウィの申し立てに対する公判前調査が開始された。現在も進行中であり、同氏はまだ訴訟手続きにおいて被害者の地位を認められていない。