「静岡県警として申し訳なく思っている」袴田巖さん"死刑囚"から"市民"に 検察が上訴権放棄し無罪確定 県警は再捜査しない方針
10月9日朝、静岡県警の津田隆好本部長も取材に応じました。 <静岡県警 津田隆好本部長> 「当時捜査を担当した静岡県警察としてもですね、袴田さんが長きに渡って、法的地位が不安定な状況に置かれたことについて、申し訳なく思っております。法的地位が不安定な状況に置かれたことについて申し訳なく思っていますということでございます」 <記者> 「『法的地位が不安定な状況に置かれたことについて』を噛み砕いていうと?」 <静岡県警 津田隆好本部長> 「ここに書いてある通りでございます」 県警のトップは謝罪の言葉を述べたものの、用意された資料を繰り返し読み上げるのにとどまりました。 <静岡県警 津田隆好本部長> 「もし、袴田さんご本人に何らかの形で、伝える機会があれば、その辺を含めて、手続き・方法はまた考えたい」 当時捜査に関わった元捜査官は無罪判決に対して「当時の捜査会議でも犯人は袴田以外にあり得ない。捜査員が自分の仕事にケチをつけたりすることはしない」と不満をあらわにしました。 事件があった静岡市清水区横砂です。事件で亡くなった4人を知る女性は袴田さんの無罪確定を受け、複雑な思いを語りました。 <現場近くに住む女性> 「すごく穏やかな人たちで家族仲良かった人たちだったんだけどね。本当、かわいそうだと思います。浮かばれないと思います」 事件はすでに時効が成立していて、静岡県警は再捜査をしない方針です。 <静岡県警 津田隆好本部長> 「この事件は、こういう形で、最終的に犯人が分からないということになったことについては、ご遺族等に対して、大変遺憾に残念に思っている」 事件で殺害された夫婦の孫にあたる男性は、検察の控訴断念について「受け入れるしかない」と答えました。 58年越しに冤罪事件と認められた「袴田事件」。検察は再審請求手続きが長期間に及んだことなどについて「所要の検証を行う」とし、県警は「可能な範囲で改めて事実確認を行う」としています。
静岡放送