トランプ政権復活で米の「ウクライナ支援」が完全になくなる可能性も
東大先端科学技術研究センター准教授で軍事評論家の小泉悠が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。スイス・ダボスで開催されたウクライナの和平について話し合う国際会議について解説した。
ウクライナ和平協議 中国の参加呼びかけへ
ロシアによるウクライナ侵略の終結に向けた道筋を協議する関係国会合が1月14日、スイス・ダボスで開催された。4回目の今回は、これまでで最多の83ヵ国・機関が参加。会合ではロシアへの働きかけが期待される「中国の参加」を求める声が上がった。 飯田)世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に合わせるような格好で開催されていますが、中国の参加について取り沙汰されています。この先の見通しについて、どうお考えになりますか? 小泉)16日にウクライナのゼレンスキー大統領が演説する予定ですが、ウクライナが呼びかけた和平のための会合に関しては、はっきり言うと、あまり具体的な成果は出なかったと思います。 飯田)具体的な成果は出なかった。 小泉)なおかつ、中露が参加していない。ウクライナはロシアに対し、「悪いけれどいまのところお断りだ」と言っており、「中国にはこれから先、参加して欲しい」という言い方をしています。ロシアに対する顔つなぎであるにせよ、「中国がいないとパンチがない」というような感覚を持っているのではないでしょうか。もちろん、ウクライナも「中国にお願いしたら何とかしてくれる」などと甘いことは考えていないと思いますが、いまのままでは前に進みません。
「簡単にはできない」という苦しさが見えた会合
小泉)今回は、ウクライナによる10項目の「平和の公式(ピース・フォーミュラ)」を進めようとしましたが、これも「ウクライナの領土一体性の回復」と言っているので、ロシア軍を追い出すということです。ロシアの戦争犯罪者を裁くなど、どう考えてもウクライナだけで実行できることではないので、何とか仲間を増やしたい。でも、「そんなに簡単ではない」という苦しさが見えた会合だったと思います。