AI版「マンハッタン計画」を 米議会報告書、対中競争で提言
【ワシントン時事】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は19日公表の年次報告書で、中国との人工知能(AI)開発競争を制するため、AI版の「マンハッタン計画」立ち上げを提言した。 中国がAIの軍事利用のために巨額の投資を行っているとして、開発に後れを取ることに強い警戒感を示した。 マンハッタン計画は第2次大戦中、ナチス・ドイツと戦う米国が原爆開発を進めるため、科学者を総動員した計画。開発競争を制した米国はその後、広島と長崎に原爆を投下した。 報告書はAIを取り扱う民間企業への資金提供などを柱に、32項目の提言を盛り込んだ。「革新的な技術の早期導入が軍事的優位に直結する」として、AIに不可欠な半導体のサプライチェーン(供給網)での対中依存を低減する必要があると主張。一定価格以下の中国からの輸入品に対する関税免除の廃止や、安保関連分野での中国企業への投資禁止なども掲げた。 また、中国が米国などとの対話に乗り出しているものの、「依然として好戦的な姿勢を崩していない」と強調。沖縄県・尖閣諸島周辺で「日本に対する圧力を着実に強めている」と警鐘を鳴らした。