韓国ドラマを日本で再創造 内野聖陽はマ・ドンソクを超えたか「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」
まずはこの映画の原作である韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師 38師機動隊」のタイトルの由来となっている、実在するある組織について述べる必要がある。 【写真】原作ドラマの出演俳優を超える「イケメン力」を誇る氷室(岡田将生) 「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」の一場面
〝悪質滞納者の死に神〟の活躍描く原作ドラマ
38機動隊。「高額税金滞納者の死に神」とも呼ばれるこの組織の正式名称は「38税金徴収課」。国税庁ではなく、ソウル市庁所属の同組織の業務は、納税の義務を規定する韓国の憲法第38条から取った名称からも分かるように、十分な経済力があるにもかかわらず、地方税を滞納する悪質な高額滞納者(悪質滞納者)を追跡し、強制徴収および行政制裁を実施すること。 強制徴収を実行するためには徹底した情報収集が必須で、悪質滞納者の隠匿不動産や金融資産はもちろん、親戚関係までも調査する。実施日が決まれば、業務時間などは関係ない。悪質滞納者の場合、個人警備室を備えた高級住宅に居住していることが多いだけに、防御網を突破するために夜明けから潜伏勤務をする。
細大漏らさず徹底徴収
強制徴収の実態は実に恐ろしい。居留守を使ってドアを開けなければ警察官の立ち会いの下、救急隊と鍵業者を呼んでバールやドリルでこじ開けて突入して納付を要求し、応じない場合は家宅捜索を開始する。機動隊員は長年の経験から体得したノウハウにより、ボイラー室、天井などの隠し場所をよく知っている。現場で発見された現金は全額没収して直ちに納付処理し、現金の他にも価値があると判断されるものは全て没収する。 主に金塊、高価なハンドバッグやウイスキーなどが対象になる。車には差し押さえられたことを明示するステッカーが貼られ、乗れないようにナンバープレートを持っていくが、期限を過ぎると車の所有権は公売に付される。強制徴収の場所は自宅だけではない。子女の結婚式場にまで出動し、宴会場に費用を払っている現場で納付を要求し、貸金庫を利用していれば差し押さえて強制開封をする。 日本人にはその方式が行き過ぎだという印象を与えかねない38機動隊は、韓国では何度もニュースなどで取り上げられ、悪質滞納者に自分たちの金を奪われていると感じる韓国国民には国民的英雄として位置づけられている。そのため、原作の韓国語タイトルは「38사기동대(38詐欺動隊)」である。