グランピング施設となる場所を案内する田島さん＝小松市中海町の赤穂谷温泉

　2022年8月の記録的大雨で甚大な被害を受けた小松市中海町の旅館「赤穂谷温泉」が、グランピング施設を設ける。被災から半年後に日帰り温泉を再開したものの、わずか1カ月でボイラーが故障し現在も休業中。多くの苦難を味わってきた4代目田島康之社長（42）は「生まれ育ったこの環境で、もう一度『いらっしゃいませ』を言いたい」と再スタートに向け準備を進めている。 　2年前の8月4日、赤穂谷温泉は敷地の中庭を流れる赤穂谷川があふれるなどし、建物全体が濁流に飲み込まれた。2階建ての客室と平屋建ての広間の建物2棟は解体せざるを得なかった。それでもボランティアと復旧作業で発生から半年の節目となる2023年2月に日帰り温泉を再開。しかし、浸水の影響からかボイラーが故障し、再び休業した。 　田島さんは「がくぜんとした」と途方に暮れたが、昨夏に、いとこから「グランピング施設を一緒にしないか」と声を掛けられ、道が開けたという。 　計画では、解体した建物の跡地にドーム型テント4棟を建て、各テントに貸し切りサウナ、水風呂を設ける。温泉も復活させ、緑に囲まれた自然環境を生かして川で涼めるような整備も考えている。来年の4月にプレオープン、5月にグランドオープンを目指す。 　全国的で豪雨被害が相次ぐ中、再び敷地を流れる川が氾濫する不安も残るが、田島さんは「創業100年余。先祖が残した大切な場所を残し、人が集い癒やされる憩いの空間にしたい」と力を込めた。 　　●4日に復興マルシェ 　旅館では、県内有志による「赤穂谷復興会」が、4月から月1回復興マルシェ（北國新聞社後援）を開いている。8月は大雨からちょうど2年の4日に開催する。カイロプラクティックやネコの相談所などのブースを設けるほか、手作り雑貨や焼きまんじゅう、コーヒーなども販売する。売り上げの一部を旅館に寄付する。