まさに“生きた化石” オオサンショウウオの骨組織は2億年以上前の絶滅種と類似 研究者「生物の進化の手がかりになる」 最新研究で明らかに 岡山理科大学と安佐動物公園の共同研究
“生きた化石”とも呼ばれるオオサンショウウオの骨組織を解析したところ、絶滅した両生類やは虫類の化石でしか確認されていないコラーゲン線維の配列が確認されたと岡山理科大学などの研究グループが発表しました。研究者は「正しく“生きた化石”であることが証明された」としています。 【画像を見る】オオサンショウウオの他の動物の骨組織の比較など…研究結果に関する図(林准教授提供) 研究は岡山理科大学の林昭次 准教授(生物地球学部)が広島市の安佐動物公園などと共同で行ったもので、研究結果は国際学術雑誌「Zoological Letters」に先月掲載されました。 林准教授によりますと、世界最大の両生類・オオサンショウウオは非常に長生きなことが特徴で、その起源は中生代にまで遡るため、古代生物の生態や進化を解明するうえで重要な比較対象とされています。一方で、国の天然記念物に指定されているため標本の確保がむずかしく、世界的にも研究例が限られてきました。 研究では、オオサンショウウオの繁殖研究が盛んな広島市の安佐動物公園が所有する日本産のオオサンショウウオとドイツ・ケーニヒボン博物館のチュウゴクオオサンショウウオの合わせて10体の標本から骨組織を解析。 その結果、オオサンショウウオは特有の骨組織を持ち、現生の両生類にはみられないコラーゲン線維(骨を構成する成分)の並び方をしていることが分かったということです。 図:オオサンショウウオの他の動物の骨組織の比較 (左:オオサンショウウオ、中央:現生両生類ファイアサラマンダー、右:絶滅両生類メトポサウルス) ※それぞれの写真で示されているのはコラーゲン線維の配列イメージ これは約2億3700万年前から2億130万年前にあたる後期三畳紀に絶滅したとされる大型の両生類・メトポサウルスなどと類似している特徴だということです。 林准教授は研究によってオオサンショウウオが「“生きた化石”であることが骨組織からも証明された」として、オオサンショウウオの骨組織の特徴と成長パターンの関連性が明らかになれば、化石など骨組織が残っている陸から海に上がった絶滅種の進化やその生態に関する「手がかりになる」としています。
また、研究では繁殖可能になったオオサンショウウオの骨組織には、多くの両生類と同様に明瞭な成長線がみられることも初めて確認されました。林准教授はこれによって、これまで年齢を知る確かな方法がなかった野生のオオサンショウウオについても、その成長段階が推定できる可能性があるとしています。 図:オオサンショウウオの成長線(左:上腕骨、右:大腿骨の断面) ※性成熟(繁殖可能時期)を迎えたと思われる頃になると成長線が明瞭になる(赤矢印)
中国放送
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