難病、死別、営むストアの閉店…八十の手習いが私に生きがいをくれた。毎朝1時間半かけコラム書き写し、専用スクラップは100冊を超えた
鹿児島県霧島市府中町の緒方槇子さん(91)は、南日本新聞1面のコラム「南風録」の書き写しを日課にしている。「字をきれいに書きたい」との思いで2015年10月から始めた。10年目に入り専用のスクラップ帳は12月末現在で105冊目に。「書かないと一日が始まらない」と愛用のボールペンを日々握っている。 【写真】〈関連〉100冊を超えたスクラップ帳を前に笑顔を見せる緒方槇子さん=霧島市国分府中町
起床後、朝食と洗濯を済ませた後に机に向かう。南風録と同じ体裁の升目がついた「南風録スクラップ帳」を開き、約1時間半かけて丁寧に書き進める。欄外のメモに「きょうの歴史」も記す。「名文ばかりでいつも感心する。きれいに書き写せた時がうれしい」 11年から週2回通う同市国分の通所介護施設「リハケアガーデン国分」の職員に勧められたのがきっかけ。60代で難病にかかり、夫達美さん=享年(75)=と二人三脚で営んでいた雑貨店「おがたストアー」も約20年前に閉店。老後の生きがいを探していた。日記を付ける習慣があり生活になじんだ。書き写しを始めてからは、硬筆コンクールにも出品を続けている。 目指すは200冊。緒方さんは「ずっと書き続けたい」と笑顔を見せた。
南日本新聞 | 鹿児島
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