台湾に「田中駅」があった 鉄道ファン詰めかけ…切符と駅弁セットは即完売
しなの鉄道(長野県上田市)と台湾鉄路管理局(台鉄)は12日、台湾彰化県の「田中駅」で友好イベントを開いた。ともに田中駅がある縁で2018年に友好協定と姉妹駅協定を結んでおり、5周年を祝った。一緒に協力してつくった駅弁と記念切符の限定セットを発売。明るい黄色とオレンジ色で親しまれ、引退した台鉄の特急車両が駅に展示され、台湾の鉄道ファンらが詰めかけ大盛況となった。 【動画】明るい黄色とオレンジ色で親しまれ、引退した台鉄の特急車両
特急列車は「友好の象徴」
切符と駅弁のセットは整理券配布後すぐに完売。駅弁は信州みそを使い、スペアリブなどが盛られている。特別展示された特急車両は「EMU100型自強号」で、台鉄の乗務員はしなの鉄道の制服を着て、客らを案内していた。
台南から来た鉄道好きな小学生と中学生の兄弟は、11日午後4時から並び整理券を手にした。田中駅に来たのは初めてで「信州みそも食べたことがない。楽しみ」と話していた。
記念式典では、両社代表らがケーキを切って祝った。しなの鉄道の土屋智則社長は、新型コロナ禍の影響を受けてきたことを踏まえ、「新しい交流に向けたスタート」と語った。
しなの鉄道は交流事業の一環で、2018年から今年11月いっぱい、「台鉄自強号色列車」を運行中。台鉄の杜微局長は、特急列車を「友好の象徴」と表現した。台鉄は2024年に国営企業化する。さらに観光誘客に力を入れる方針とし、しなの鉄道を参考にし、両者の交流が活発化することを願っているとした。
しなの鉄道側は、今回の記念切符を地元で飾るなど、今後も台鉄との友好企画を検討していくという。
この日は駅周辺で「田中マラソン」も開かれており、しなの鉄道側からも代表者が10キロの部に参加し、完走した。
日本の田中さんを発見!
台鉄田中駅で取材中、日立製作所の技術者で台北市に駐在している田中将太さん(30)=千葉県出身=と出会った。「名字が田中ということもあり来たかった」。しなの鉄道田中駅にも以前訪れたことがあるといい、「構内でみんなが田中、田中といい、そわそわする」とも口にした。
この日特別展示された特急車両は、田中さんが勤める工場で整備され、「復活に向けて大変だったと聞いた」。記念切符は手に入れることができなかったが、イベントに参加でき興奮している様子だった。(松本稀菜)