太陽電池から高効率で給電 長崎総科大やNTTドコモ 携帯基地局へ、実証事業で基本合意
NTTドコモ(東京)、長崎総合科学大(長崎市)、NTTデバイスクロステクノロジ(川崎市)は12日、高電圧で直流のまま送ることができる小型で軽量な電力変換器や、太陽光パネルから携帯電話の基地局に高効率で給電するシステムの開発、実用化に向けた実証事業に取り組む基本合意書を締結した。 電力制御分野の第一人者である同大の黒川不二雄学長によると、1200ボルトの高電圧を、基地局で使用する電源電圧48ボルト程度に一度に変換する技術確立を目指しており、実現すれば世界初。他の産業での活用も期待できるという。 計画では、電力変換器を従来型の3分の1程度に小型化・軽量化し、コストも削減。送電や電力変換時のロスを減らすことで、太陽電池による給電時の電力損失を現行の35%程度から15%以内に半減させる。 ドコモは太陽光パネルや蓄電池を導入した「グリーン基地局」の整備を全国的に推進。2030年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指しており、電力変換器などの研究実績がある同大やNTTデバイス社と実証事業に取り組むことにした。 実証事業は本年度、環境省の事業採択を受け、26年度までの3カ年で委託費は総額約6億3千万円の見込み。本年度は変換器の開発などを進め、来年度中に同大学内に試作器を設置。最終年度に本格的に実証実験をし、事業性を評価した上でドコモが全国的な導入について検討する。長崎市を通じ市内の事業者に知見の提供や情報共有を図ることも計画する。 市役所であった調印式で、鈴木史朗市長立ち会いの下、3者の代表が合意書に署名。ドコモの浅井孝浩クロステック開発部長は「長崎での取り組みを初として技術を確立し、全国的に広めていきたい」とあいさつした。