【このニュースって何？】大谷選手が50‐50を達成 → 大谷選手の一番すごいところは？
日々のニュースの中に「学び」のきっかけがあります。新聞を読みながら、テレビを見ながら、食卓やリビングでどう話しかけたら、わが子の知的好奇心にスイッチが入るでしょうか。ジャーナリストの一色清さんがヒントを教えます。
「二刀流」への強い思い
大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手（30歳）が大リーグ史上初のシーズン50本塁打、50盗塁の「50‐50」を達成しました。ホームランを打つパワーと盗塁を成功させるスピードの両方をあわせ持つ選手は少なく、大谷選手はパワーもスピードも大リーグでトップクラスの力を持っていることを示しました。 今シーズンの大谷選手は、昨秋に右ひじの手術をしたことから打者に専念していますが、来シーズンからは投手もする「投打二刀流」に戻ることになるはずです。投げて打って走っての「三刀流」の大活躍が見られるかもしれません。 大谷選手を表現する形容詞としてはもはや「すごい」しか出てきませんが、そのすごさの源は「人のやっていないことに挑戦する」という強い開拓者（パイオニア）精神だと思います。今回は筆者の主観が少し入りますが、大谷選手のすごさと、同じようにパイオニア精神を持って大リーグで活躍した2人の先人のすごさを紹介しようと思います。 大谷選手は岩手県の花巻東高校時代から投打ともにすごい選手として有名でした。3年生の時の2012年全国高校野球選手権大会（夏の甲子園大会）には県大会決勝で敗れて出場できませんでしたが、その年のプロ野球ドラフト会議では日本ハムファイターズが1位指名しました。 しかし、大谷選手は高校卒業後に直接大リーグに進みたいという意思を持っていました。それでも日本ハムは大谷選手を口説きました。大谷選手は「投打二刀流」を認めてくれることを条件に日本ハムに入団しました。 戦後の日本のプロ野球で同時期に投手としても打者としても活躍した選手は基本的にいません。1シーズンだけ二刀流だった選手や代打で出場したことのある投手はいましたが、本格的に二刀流に挑戦して成功した選手はひとりもいなかったのです。多くの野球評論家は「そんな甘い世界ではない」として、大谷選手の挑戦について「どちらかひとつに絞ったほうがいい」と言っていました。 しかし、大谷選手は二刀流をつらぬきました。そして成績を残して、6年目には念願の大リーグ・エンゼルスへの入団を果たします。長い大リーグの歴史をみても二刀流の選手はほとんどおらず、100年ほど前の伝説のホームランバッターであるベーブ・ルースが入団後の4年間にやっていたくらいです。 大谷選手が数ある球団の中からエンゼルスを選んだのは、「二刀流で起用すること」を約束してくれたからだと言われています。それくらい二刀流への思いは強く、つらぬき通したのです。大谷選手が「自分を信じて高い目標を持ち続けた」というすごさがこの経過からうかがえます。
