<センバツ・夢へ続け!>柴田/下 控え投手の台頭が課題 主戦・谷木を頼り東北大会準優勝 球数制限が壁に、決勝大敗 /宮城
2020年10月17日、東北地区大会の準々決勝で東日大昌平(福島)に打ち勝ち、32年ぶりの4強進出を決めた。だが、ここまでほぼ一人で投げてきた主戦・谷木(2年)の前には大きな壁が立ちはだかっていた。高野連が19年に定めた1週間で500球以内という球数制限だ。 谷木は1、2回戦を完投し、準々決勝でも九回途中まで投げた結果、球数は361球に及んでいた。平塚監督が2番手投手に考えていた遠藤と佐々木はけがで投げられない。勝てば大きくセンバツが近づく準決勝をどう戦うかミーティングで話し合うことにした。 平塚監督は、谷木の負担を抑えるため、準決勝は他の投手を登板させる選択肢も示した。谷木を投げさせるならしっかりと考えさせたかった。約30分間、選手だけで話し合った結果、「目の前の試合を大事に」と谷木先発で一致した。監督も「一戦必勝が自分たちのスタイル。準決勝も同じスタイルでいこう」と背中を押した。 準決勝の相手は山形1位校の日大山形。三回までに6点リードした。中盤に谷木を交代させることも頭をよぎったが、平塚監督は「強豪が相手で何があるか分からない。リズムを崩して決勝に行けなかったら悔いが残る」と谷木を頼り悲願の決勝進出を手にした。 さらに120球を投げた谷木に残された球数はわずか19球。「投手やりたいやつ、投げてみろ」。実は準決勝の後、平塚監督はすがる思いで、選手たちをブルペンに向かわせていた。そして、投手ではなく捕手の南條(同)に、決勝・仙台育英戦の先発を託した。 「自分が抑えなきゃ」。練習で安定していた南條の制球が力みから乱れ、点差が離れていった。四回1死二、三塁のピンチに谷木を投入するも3長打や犠飛を許し、19球を使い果たした。17点差の大敗。「いけるとこまでいって、あとは投げられるメンバーで抑えてもらってと思ったが……。難しかった」と平塚監督は吐露する。 3番手でマウンドに上がった日下(1年)は、「情けなさと悔しさと。谷木さんに謝りたい気持ち。支えられるよう鍛え直したい」と悔しさをにじませた。谷木は準優勝の結果に「力が通用したうれしさもあるが、仙台育英の投手陣のような強さが無いと抑えられない」と成長を誓う。 攻撃力があるだけに、課題は控え投手の台頭。だが、谷木も半年前まではベンチ入りしていなかった。長い冬に大化けする選手が現れたら、面白くなりそうだ。【面川美栄】