中国車には100%関税課すと言う一方で、TikTok規制法案に反対するトランプ氏の真意
TikTokの大株主がトランプ氏に巨額の政治献金を行っている
須田)もう1点、トランプ前大統領の政治資金の問題もあります。TikTokの大株主で投資家のジェフ・ヤス氏は、トランプ氏に対して巨額の政治献金を行っているのです。そのため、TikTokの経営にとってマイナスになるような政策には反対している可能性があります。政策や政治資金の問題によって、方向性が大きく変わってくるかも知れません。
4つの刑事裁判も抱え、政治資金がいくらあっても足りないトランプ前大統領
飯田)2016年の選挙でヒラリー・クリントン氏を破ったときは、大口の献金がなく、草の根の献金やトランプ氏自身のお金も使っていたと言われています。今回に関しては、大口献金もかなりあるのですか? 須田)一部集まっていますし、何よりも、いまトランプ氏は4つの刑事裁判を抱えています。これに関して巨額の裁判費用が掛かっており、「政治資金がいくらあっても足りない」というような状況です。 飯田)弁護士を雇う資金なども含めて。そうすると、大口献金者の言うことも一部は聞かなければならない。 須田)言うことを聞いているかどうかはわかりません。しかし、そういう関係性があることは理解しておく必要があります。
大口献金者と政策の中身は完全にリンクしているケースが多い
飯田)台湾メディアなどでは、「お金でいろいろ変わるのではないか」と危惧するような報道がありますね。 須田)どういうところが、どういう思惑で政治献金を行っているのか。その結果、どんな発言が出ているかを考えなければなりません。ただ、これはトランプ前大統領だけではありません。バイデン大統領もそうですし、ほとんどの大統領候補、あるいは過去の大統領選挙を見ても、大口献金者と政策の中身はリンクしているケースが多いのです。 飯田)アメリカはそういう国だと。一定の許可、資格を取ればいい。 須田)ロビー活動が許されている国ですからね。
マーケットの公平公正を阻害する政治的な思惑
飯田)中国だけでなく、いろいろな国が影響力を行使しようと動くかも知れない。日本はどうなのですか? 須田)日本はロビー活動が下手なのですよ。 飯田)USスチール買収の中身を見ると、「むしろこちらが助けるという話ではないのか」と日本人としては思いますが。 須田)企業買収問題は公平公正なマーケットにおいて決めるべきなのに、政治の思惑を反映させてしまうと……。アメリカを象徴するようなUSスチールという企業が日本企業の支配下に入ると、イメージ的な問題として許容しにくいことはわかりますが、経済の原理原則、自由貿易体制によって大きなメリットを受けてきたのはアメリカ経済ではないですか。そこに対して政治的な思惑を影響させると、自己否定になってしまうのです。アメリカのジャーナリストに「これは公平公正を阻害することになるのではないか?」と聞くと、「その通りだ。そう思う」とみんな口を揃えて言います。