[山口県]副業あっせん詐欺 県内若者被害急増 一度報酬を払い信じ込ませ
山口県内で20代や30代など若年世代を中心に、交流サイト(SNS)で副業あっせんを装う詐欺の被害が急増している。県警は10月末時点で24件を認知。県警生活安全企画課によると、昨年は1件も確認されておらず、最近の「副業ブーム」も被害に拍車をかけているという。実際に被害に遭った男性のスマートフォンのやりとりを分析すると、巧みに被害者を信じ込ませ、大金をだまし取る手口が浮き彫りになっており、同課は「以前は高齢者が(詐欺の)被害に遭う場合が多かったが、副業ブームの広がりもあり、若者が被害に遭うケースが増えている」と危機感を募らせている。 【写真】簡単な作業で報酬が得られると被害者に持ちかける相手=山口県警提供 被害者の一人は宇部市の30代男性。9月10日にスマートフォン向けの動画投稿アプリ「Tik Tok」の広告を通じて知り合った仕事の責任者と名乗る相手から、LINE(ライン)を通して「要求通りに動画を見るだけで、報酬がもらえる」と持ちかけられた。一つの作業をこなすごとに100円から800円の報酬があり、1日で5千円から5万円の収入になるという。男性が「興味がある」と答え、動画を視聴して画面の写真を送ると、相手から4回に分けて電子マネーなど計約1万円分の報酬が支払われた。 後日、相手から副業を続けるためには専用の「プラン」に入る必要があると迫られ、男性は入会。別の副業として暗号資産投資も勧められ、取引過程で発生した損失の補填(ほてん)などの名目で現金15万円と電子マネー利用権4万3千円をだまし取られた。 県警によると、一時的に報酬を支払うことで被害者を信じ込ませ、大金を奪い取る手口も多く、被害者の中には将来的に利益が得られると信じて借金を原資に充てるケースもあるという。インターネットバンキング(IB)を利用してお金のやりとりを行うよう指示されることも多く、同課は「簡単にもうかる副業はない。IB口座の開設や、IB機能の追加を求められた場合は詐欺を疑ってほしい」と注意を呼びかけている。