『ラグナロクオンライン』インタビュー。“不夜城”は『RO』検定、新エピソード“死なない者”では長ーい猫ちゃんがプレイヤーを待つ。22年目は喜ばれる失敗の答えを求めて
編集:ミス・ユースケ 『ラグナロクオンライン』(以下、『RO』)――。 日本における代表的なMMOPRGの一本である本作は、2023年12月1日よりサービス開始から22年目に突入している。もはやサービスと同時に生まれた子どもが大学4回生で卒論に悩むような日々を送るレベルの長期運営タイトルである。 【記事の画像(17枚)】を見る それでも、本作の挑戦は止まらない。2023年はYggdrasill用の新コンテンツ“ティアマト攻城戦YE”と“蜃気楼の塔YE”を追加し、11月には待望の“拡張4次職”も実装。21年を超えても、まだまだ勢いは増すばかりだ。 さまざまな新コンテンツを実施した2023年を振り返りつつ、2024年にはいったいどのような展開を用意しているのか。『RO』運営に毎年恒例となるインタビューを実施した。 ここまで来たら、どこまでも。2023年の『RO』を振り返る ――まずは2023年の振り返りをお願いします。かなりいろいろなことをやられていたとは思いますが。 中村 2023年に「いろいろやります!」と言っていた分の多くは実装できたのかなと。エピソードも予告通りイスガルド(EPISODE:ISGARD~説話の地~)まで実装できましたし、幻想叢書も7本まで入れることができました。拡張4次職は、夏とお伝えしておきながら、年内ギリギリでの実装になってしまいましたけど……。 レベル上限もBaseLv250、JobLvは50まで上げられるように。あわせてメモリアルダンジョン“星座の塔”も実装しました。 山本 やっぱりチャレンジできるものが必要かと思いまして。 中村 ほかには『RO』公式ツールの強化なんかもやっていて、マップ情報や登場モンスターの一覧を詳しく見られるようになりました。 マップをクリックすると、デスペナルティが発生するかどうかとか、ここでどんなBGMが流れているのかとか、詳細な情報をチェックできます。よりユーザーさんのプレイをお助けできるようなものになればなと。 山本 アップデート以外にも、X(旧Twitter)上などでいろいろなキャンペーンをやっていました。 中村 春には“RO懇親会”と称して、フォローして専用ハッシュタグを付けたポストをするとポリンのホットサンドメーカーが当たるキャンペーンをやりました。 ※このキャンペーンは終了しています。 中村 夏にはかき氷機とポリンのグラスをプレゼントする“RO夏フェス”。12月にはみんな大好き“黄金蟲カード”デザインのAmazonギフトカードなんかも用意しました。 ――みんな黄金蟲が好きだからなあ。そんなの『RO』くらいですよ。 ※このキャンペーンは終了しています。 中村 昔から遊んでいただいている方にはけっこう好評みたいでして、ありがたい限りです。22年目……というのは中途半端な数字ではありますが、「ここまできたらいつまでも続けてやるぞ!」という勢いでやっていきます。 バトルコロッセオのテストが再開。装備はレンタル式に ――続いて、これからの話をしてきましょう2024年はどういったところを目指していくのでしょうか。 中村 拡張4次職を実装して特殊4次職のレベルキャップなども解放し、職業はしっかり揃った状態になりました。そうなるとつぎは、遊べるコンテンツを増やしていくフェーズかなと思っています。Yggdrasillワールドの新コンテンツですとか。昨年のインタビューでも言っていたことですね。 中村 本来は2023年後半で実装予定でしたが、拡張4次職業の実装が後ろに遅れてしまったこともありましたので……2024年から本格的に始動させていければと考えております。 山本 まずは(Yggdrasillでの)レベルキャップの解放ですね。1月末頃に上限をBaseLv240、JobLv45まで引き上げる予定です。メインと同じようなBaseLv250、JobLv50への解放は、5月くらいに予定しています。 それぞれの解放タイミングに合わせて、“RJS(RagnarokOnline Japan Siege wars:ギルド日本一決定戦)”を開催したいと思っています。1回目はBaseLv240まで解放した2月頃。2回目はBaseLv250を解放した後……だいたい6月くらいですね。その辺りに開催したいと考えています。 ――1月時点で一気に解放するわけではないんですね。 中村 拡張4次職はBaseLv200から上げていく必要がありますので、どうしても(BaseLv240の)土台がある4次職とは上限に到達するスピードが違ってきます。 レベル差があるだけで勝負が決まってしまう場合もありますから、皆さんのレベルアップスピードに合わせようと。なるべく平等に戦えるようなかたちにしていきたいな、という考えです。 山本 PvPコンテンツつながりで、つぎは“バトルコロッセオ”について。2023年に最終テストをするつもりだったのですが、それが達成できなかったので、2024年では改めて再開したいと思っています。 以前のテストは3次職まで。これからは4次職と拡張4次職も使えるようにするつもりです。加えてレベルキャップもBaseLv240などに解放した状態でテストをしていければと。 ――どういったテストになるのでしょう。 山本 “装備などをレンタル制にする”みたいな内容が中心ですね。これは以前から予定していました。というのも、そもそもコロッセオのテストを1年も止める予定ではなかったので、なるべく早く再開したいなと。装備ごとのコストを考えるより、まずは再開することに重点を置きたいんです。 ――まず動かしてみて、プレイヤーのフィードバックを元に調整していくと。 山本 テスト再開直後は装備の数が少ないと思うので、「あれが足りない」、「これがほしい」という意見が出てくるでしょう。そういったお声があればその都度検討して、コストも考えて実装していく、というスタンスになるのではないかと思っています。 ――テストの再開時期はいつ頃を検討していますか? 山本 だいたい3月頃を予定しています。もちろん早く動けるようならできる限り早くやりたいという気持ちはあるのですが……。 やるやる詐欺からの卒業。“モンスターハウス”が帰ってくる 山本 もちろんPvPだけではなく、PvEコンテンツも新たな展開を予定しています。2023年はYggdrasill用のティアマト攻城戦YEと蜃気楼の塔YEを追加しましたが、本来は“モンスターハウスYE”の実装も予定していました。今年こそは。 中村 毎年「やります」と言ってますから。 山本 今年こそは、やるやる詐欺を卒業したいと思ってます! ――ほんとにぃ? で、やるとしたら実際はどんなものになるんでしょうか。 山本 古いコンテンツなので、そのままは持っていけないんですよね。いろいろカスタマイズをして、6月頃の実装を目指しています。大まかな作業はすでに始めていまして、難易度的には蜃気楼の塔YEとティアマト攻城戦YEのあいだを想定しています。 ――なるほど。そのふたつとはどういった差があるんでしょう。 山本 戦闘不能になっても再度参加できたり大勢のユーザーがひとつのマップに集結して戦闘を行うのはティアマト攻城戦YEと同じです。ただ、戦闘不能になると報酬が少なくなったり復帰にクールタイムがあったりと、モンスターハウスYEではいろいろとペナルティがつきます。 蜃気楼の塔YEほど重いペナルティにはせず、かといってティアマト攻城戦YEほど軽くはない。あいだとなるところを目指して作成しています。 中村 モンスターハウスYEは長い年月を経ての再実装ということもあって、スタート時に報酬が追加でもらえたりするイベントも準備するつもりです。 新しいコンテンツが実装されてすぐのときって、わからないことも多いと思うんですよ。そういった段階でも開拓して、攻略情報を共有してくれる人たちに対してのお礼といいますか。このイベントがモチベーションになってくれればいいなあと思っています。 山本 蜃気楼の塔YEも参加しやすくしたいんですよね。やっぱり難度が高くて躊躇する人もいると思うので。モチベーションを上げるイベントを企画中です。 たとえば戦闘不能になっても引き続き参加できるようにして、先の展開を見られる、みたいな。従来の蜃気楼の塔YEへ挑むときに活かせる情報も手に入りますしね。そういった方向性で考えています。 中村 (蜃気楼の塔YEのような)1発クリアーが難しいコンテンツ、ちょっとユーザーさんたちに刺さり辛いのかなと感じています。 ――難しいものは敬遠される、ということでしょうか。 中村 そういった点も踏まえてのイベントですね。蜃気楼の塔YEは長い期間置いてあるコンテンツです。1回でクリアーできるとただの作業になっちゃうんですよ。なので、難度をいたずらに下げるやり方だとおもしろみがなくなってしまう。2024年は“コンテンツをどう作っていくのか”をもっと深く考えてやっていきます。 ――いまのオンラインゲームだと、イベントはさっくりと完走させるのが主流ですもんね。『RO』が始まった当初とはかなり流れも違ってきています。時代の変化をどう感じられていますか。 中村 どういった形でハードルを設置すればちょうどいいのかな、というのはずっと考えてきていますね。“うまい失敗の仕方”というか。 ――それはもう“ゲームそのもの”の話ですよね。ゲームってそもそも何かしらの壁を越える達成感を味わうものだから。 中村 ハードルを乗り越えて達成感を味わってほしいんですが、ハードル自体が理不尽でただストレスを与えるようなものはよくない。 「いまのは惜しかった! こうすれば何とかなるかも?」とか「最初は全滅するよな。つぎはどうしようか」みたいな、つぎにつながる、喜ばれる失敗とは何か? ということは重要だと思っています。 簡単すぎて全員が突破できてしまうと、やっぱりただの作業になる。かといって全体の数%しかクリアーできない……というやり方だと、どうしてもユーザーさんたちに不満を与えてしまう。どれくらいの人数が達成できるようにするとちょうどいいバランスになるのか、コンテンツごとにある永遠の課題ですね。 山本 クリアー時のスコアで競ってもらうやり方はけっこう成功した気がします。クリアー自体はいろんな人ができるけど、スコアを極めようとすると難しい。やり込み要素と間口の広さを両立したかたちにできたんじゃないかと。 クリアーのなかに段階を置く。“クリアーはしたけどスコアが低い”というのは、さっきの失敗の話に置き換えると“成功に見える失敗”とも言えます。そういった調整は受け入れていただけたのかなと思います。 中村 ただ、全部のコンテンツを点数制にするのもまた違うんですよね。それはそれで飽きられたりギスギスしてしまう。喜んでもらえる新しいかたちはずっと模索中です。 “不夜城(仮)”の正体は“『RO』検定” 山本 昨年のインタビューで話していた“不夜城(仮)”についても、今年はもっと進めたいと思っています。 ――お、ついに実装ですか? 山本 いや、実装についてはまだちょっと厳しいかもしれないんですよね……。コンテンツの内容は定まってきていて、たとえば通常ワールドで集めたものが攻略で必要になったり、ティアマト攻城戦YEなどのクリア報酬である称号を持っていると有利に進めたりだとか、そういった方向性で考えています。 ――不夜城(仮)の中だけで完結するわけではないんですね。 山本 もっと広く考えたいんですよ。『RO』全体を通して、必要な物を集めたりしながら攻略していく。もちろん、不夜城(仮)の中でモンスターと戦ったり謎解きをしたりすることもあります。 中村 ほかのコンテンツを遊んでいると「お、これ見たことあるかも」みたいな具合で攻略のヒントになったり。“あなたの『RO』検定”ってわけじゃないですけど、そういった要素が入れられるとおもしろいかな、と思っています。 山本 ユニークな施策を目指しているからこそ、モンスターハウスYEなどの新規コンテンツが落ち着かないと、本格的に作り始めるのが難しいという事情がありまして……。 ――その辺りが完成しないと、たしかにどうしようもないですよね。 つぎのエピソードもイスガルドで。仮タイトルは“死なない者” 中村 Yggdrasillだけじゃなく、メインのアップデートも行っていきます。大きなものだとエピソードアップデートですね。前回はイスガルドという新たな土地が舞台になりました今回も引き続きイスガルドが舞台となります。仮のタイトルは“死なない者”。まずはイメージイラストをお見せしましょう、こちらです。 中村 こちらに描かれているのは、新しいキャラクターである“ラスガンド”。彼はヨルムンガンドを崇拝する蛇人間“ルガン”たちにとっての長のような存在です。 山本 ストーリー中で、名前だけが出ていたキャラクターですね。 中村 彼がルガンとともにイスガルドで騒ぎを起こし、どこかへと消えていったというのがイスガルドでのストーリーでしたが、今回はその続き。ラスガンドを追って禁忌の地である氷の渓谷へと向かいます。 で、ストーリー中にはちょっと変わったNPCが登場するんですけれど。 中村 イスガルドはヨルムンガンドが封印されているとされる土地です。詳細は明かせませんが、このキャラクターもそういった部分にちなんだものになっています。 「この木ってあれかな?」、「ループしてるってことはあれの関係者かな?」みたいなところで予想を楽しんでいただければと思います。こんな立ち絵も。 ――持ち上げた猫だ。 中村 さりげなく「やんのか?」みたいなポーズも取ってますね。ラスガンドがラスボスっぽい雰囲気を醸し出すなか出てきた猫は何者なのかというのは物語で明らかになっていきますので、ぜひともご期待ください。 ――イラストが多い。新エピソードの実装予定はいつ頃になるのでしょうか。 中村 だいたい秋くらいですね。9月~10月に入れられるといいなあと思っています。 “ラグ・コレ”が帰ってくる。最先端のコーデでおしゃれバトルに挑もう 中村 ほかには2023年中にできなかった“深淵の回廊”についても準備を進めています。拡張4次職と4次職向けに、レベル上げや新アイテムを入手できるような新イベントとして開催するつもりです。こちらがイメージイラスト。左が古王グローザで、右が古龍ジラントです。 中村 ふたりともけっこう若返った感じで。全盛期のパワーを手に入れた彼らと戦うことになるのでは……? というところで、ご期待いただければと。ほかにも、オシャレにも力を入れていまして。衣装装備が、2023年時点で2200種類を超えたんですよ。 ――2200! 中村 装備できる部位を増やしたり、エフェクトが出るような衣装を追加したり、かなりの勢いで増えてきています。ユーザーさんもそれぞれの個性を出した十人十色のコーディネートが楽しめるようになってきたかなと。 そこで改めて、2020年に『RO』内で行った“ラグ・コレ2020”のような“おしゃれバトル”を復活させようと思っています。 ――具体的にはどういったものになるのでしょう。 中村 イベント期間中は、大陸のいたるところにおしゃれバトルをやりたがっているNPCを配置しています。彼らを見つけて、どんどんおしゃれバトルをしていく。勝つと勝利ポイントがもらえて、勝利数に応じて称号などがもらえます。モンスターとの戦闘は一切なしで楽しめます。以前は特定の会場にいる形式でしたが、今回はNPCを探すところからスタート。 ――どれくらいの人数を想定してるんですか? 中村 現状だと100体は超えてます。開発中に新しいNPCも増えたので、それらを追加する話も出ていたりして……最終的には相当な数になるだろうなと思ってます。あと、隠しキャラもちょっと用意する予定です。意外な所に配置するような。 特定の装備を持っていないとバトルをしてくれないキャラもいるので、いろいろ装備を持っていると有利かもしれません。昔のイベントで出た衣装ですとか。 ――昔からやっている人にはちょっとうれしいやつだ。 中村 どこかで会ったことあるNPCたちを配置していこうかなと思っています。「あ、こいつあのクエストに出てきたやつじゃん!」みたいな。 中村 このイラストに描かれているイーブル(右)もそうですね。彼女もコーデバトルに参加します。当時の思い出なんかも思い出しながら遊んでもらえると。 ――昔を思い返すようなイベントっていいですよね。あのキャラ懐かしいって言いたいもの。 中村 「こいつには苦労させられたな~」みたいな思い出ってありますしね。つねに悩まされてるホルグレンみたいな「お前のせいで精錬が成功しないんだよバカ野郎!」みたいなのもありますから。 ――いちばん倒されたNPCを集計したりはしないんですか? 中村 あ、たぶんできると思いますよ。たしかにおもしろそうなんで、サイトで紹介するのもありかも。 ――楽しみにしています。ほかにはどんなアップデートがあるんでしょうか。 中村 人気の高い“精錬祭”や“ブートキャンプ”など、従来通りのイベントも新要素を入れつつやっていければと思っています。いつ頃に何が来るのか、というのは長年遊ばれているユーザーさんには染み付いてると思いますので、期待されている通りに実施していくつもりです。 ほかには、4次職のキャラクターが下のキャラクターの衣装を使えるようになるアップデートも入れる予定です。エクストラカラーの数も増やします。4次職以外は2色だけなので、6色まで増やしたいですね。 ※エクストラカラーは開発中のため、変更となる可能性もあります。 重要なのは“挑戦”と“信頼”。「トライしよう」の気持ちがある限り、ゲームは続いていく ――『RO』は著名人の中にヘビーユーザーがいた、みたいな話がけっこう出てきますよね。 中村 そうですね。米津玄師さんが『RO』をやられていたり。 ――最近だと料理研究家のリュウジさんが殴りプリーストをやっていたというポストも話題になっていました。やっぱり、ああいう世代の人たちって1回は遊んでいるんだなって思いました。 中村 そういった方々にしていただけるコメントって、やっぱり「楽しかった」だけじゃないことも多いんです。マイナスの側面があるというか、「たいへんだったけど、楽しかった」みたいな。そういった難しい部分がありながらも、楽しい思い出に昇華してもらっているような。 ただ、いま同じことをやってもそうはならないとは思っています。マイナスはマイナスのままで終わってしまう。 山本 やっぱり難しいんですよね。「悔しい! もう一度攻略してやる!」となるのか、「やれないからもういいや」となってしまうのか。そのラインがとても難しい。 ――このラインってなんなんでしょうね、本当に。時代という言葉で切り捨ててしまうのも違うと思いますし。 中村 そう考えると、“深淵の回廊”はけっこううまく作れているのかなと思います。トップクラスに難しいコンテンツとなると、やっぱり最初はクリアーできる人が少ないんですけど、キャラクターや装備が強くなったり、攻略方法が確立されたりして、どんどん突破できる人が増えてくる。そうなったらまた新しいものを実装して、また挑んでもらう。これを何度もくり返して、いまのかたちになりました。 2024年には深淵の回廊に新たなコンテンツを入れる予定です。「これは4次職とか拡張4次職の人に全力でやってもらう、そういう難しいコンテンツですよ」という土壌があるからこそ、ユーザーの方々に受け入れてもらえるんじゃないかと。 山本 高難度コンテンツです、と事前に示されていて、だからこそ受け入れてもらえる。バランスは難しいですけど。 中村 伝え方、説明のうまさも重要なんだと実感しています。でもやっぱり説明って読まれないですよね。やれば理解できる、という風に作らなければいけない。 ――事前に示す必要はあるけど、しっかり読み込む人は少数。どんな案内にも共通する、答えのない問題だと思います。 中村 でも、こうやって悩みながら運営できるのって、幸せだなーとは思います。 ――長く続いているゲームの特権ですよね。「あなたたちならやってくれますよね?」みたいな文脈がユーザーさんに通じる。 中村 そうですね。そういったツーカーな部分に甘えることもありますけど、こういう関係も含めておもしろさとして認識していただけるならいいのかな、というのもあります。 ゲームの歴史を作るのはユーザーで、我々が作るのはあくまで箱。“長く続けてきている”という部分をうまく使って、これからの歴史を刻んでいただけるものを作っていきたいですね。 ――妙なツーカーの関係が成立しているゲームはおもしろいなーと思ってます。同じことをやって、失敗しているところも少なくないけれど。 中村 我々も全部成功しているわけじゃないですからね。 ――前もこのインタビューで言ってましたね。すぐ地雷踏んじゃうっていう。 中村 そうそう。 ――地雷を踏んでも継続できるゲームって、どういうところが成功しているんでしょう。 中村 それこそ正解はないですよ。というか“うまくいったら正解です”みたいなところがありますよね。『RO』も長いですが、これだけ長くやって知見を溜めていても、最終的には「トライしてみようか」となりますから。 ただその、「トライしてみよう」という気持ちがある限りは続くかなとは思っています。いまだにトライしまくってますからね。なんだかんだで。 ――わからないからこそトライ&エラー。インタビューのシメが「わからない」でいいのかな。 中村 わからないなりに新しいことにどんどんトライしていきたいですよ。それを少しでも楽しんでいただきたいですし、その姿を「がんばってんだなー」と温かい目で見守ってもらえたらありがたい。笑い飛ばしてくれてもいいですしね。 何より、できあがったものをプレイして楽しい思い出にしてもらうのがいちばんです。あっさり負けることもあれば、何とかクリアーできることもある。そんな思い出を楽しく友だちどうしで語り合ってくれたらいいのかなって思っています。 ――最近はインディーゲーム作家さんたちが元気で、新しいゲームもどんどん始まっています。20年以上続いているゲームでも失敗しまくってるというのは安心します。 山本 よくも悪くも、新しいチャレンジをしないといいものはできないですから。失敗を恐れていたら新しいものは生まれないんですよ。許されるのであれば、何にでもチャレンジする姿勢でいくのは大事だと思っています。 だからこそ、この歳になっても失敗することはあるんですけど。プレイしている方からしたら「ふざけんなよ!」という感じだとは思うんですが、チャレンジした結果なので、何卒、受け入れていただけますと……。もちろん厳しいご意見もお待ちしています。 ――そこで受け入れてくれるユーザーさんがいるからこそ、『RO』は続いているんでしょうね。
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