話題のドラマ『錦糸町パラダイス』に地元民が感じた本気。物語の背後に透ける“現実の事件”
登場人物と同姓同名の人物がモデルになっていた!
次の「実在の人物」というのは、問題となった音楽アプリ制作会社の社長、浅香航大演じる「能光順」(たくみ・こうじゅん)です。この会社の事業は最終的に別会社に譲渡されるのですが、社長の能は会社の事業とは別に、引き受け手のいなかった「錦糸町フェス」という音楽イベントの運営を有志で引き受けることになります。もともと会社も、音楽に対する熱い思いから設立したものでした。 錦糸町で音楽フェスといえば、毎年10月に開催される「すみだストリートジャズフェスティバル」というイベントがあります。2010年に始まって年々規模を拡大し、いまでは錦糸町を代表するイベントのひとつとなっています。 この「すみジャズ」を立ち上げたのがまさに、「たくみ・こうじゅん」さんです。漢字はドラマとは微妙に異なり「能厚準」ですが、めずらしいお名前で読み方がまったく同じということで、さすがにご本人に取材をしているようです。 ただし、実在の能さんはもちろん、企業の不正に関わったことは一切ありません。あくまで「錦糸町の音楽フェスの立ち上げ」という部分だけがモデルになっています。また、じつは私も、行き着けの焼き鳥屋で能さんと一度だけお話ししたことがありますが、ドラマの「能」のように気取ったところのまったくない、良い意味で“錦糸町らしい”気さくな方でした。 つまり第1~2話は、錦糸町のリアルな事象を表と裏、または光と影のように組み合わせてできたフィクションだったのです。このような両面的な構成に、MOROHAによる主題歌「燦美歌」が静かに共鳴するのが、またなんとも言えません。 ちなみに、今年の「すみジャズ」は10月19日(土)・20日(日)に開催されることがすでに発表されているので、ドラマを観て興味をもたれた方はぜひチェックしてみてください。全会場無料で、錦糸公園ではたくさんの飲食店が出店するほか、街のあちこちでストリートライブが行われて大賑わいになります。