節約目的で「賃貸」から「マイホーム」に買い替えます。注意点を教えてください。
「賃貸に住むより、マイホームを購入して住む方が節約になる」という記事やSNSでの投稿を、時折インターネット上で目にすることがあります。しかし、マイホームの購入にはいくつもの注意点があります。 今回は、節約目的でマイホームを購入する際の、注意点をお伝えします。
「今の家賃より安くなります」が必ずしもそうとはかぎらない
マイホームを購入するきっかけの一つに「家を買った方が、今の家賃~円より安くなります」という、うたい文句があるでしょう。特に家賃を10万円以上支払っているような世帯であれば、一度や二度はそのようなことを周囲から言われたり、広告などで目にしたりしたことがあるのではないでしょうか。 しかし、このようなうたい文句は多くの場合、毎月のローンの支払いのみと比較したものです。 例えば、ある賃貸住宅に35年間住むとして、毎月10万円の家賃を支払いつづけると、支払総額は35年間で4200万円です。同様の価格帯である4200万円のマイホームに住み替えたとしましょう。40年50年と長く住むにつれて、家自体への支払総額は、確かにマイホームの方が安くなっていきます。 一方でマイホームは、賃貸に住む場合はなかったであろう支出が多く生じます。固定資産税といった税金の他、およそ5年から10年単位で生じるであろう、家の経年劣化による修繕維持の工事費用などがいい例です。 特に、老後に一軒家のリフォームをするという場合、費用が数百万円を優に超えることもあるようです。参考までに、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2022年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」によると、実施されたリフォームの平均金額は、一戸建てで471.6万円、マンションで278.6万円であることが分かりました。 こういった諸費用を考えると、生涯の実質的な居住費が今の家賃と比較してさほど安くならないことや、むしろ高くなる可能性があることも知っておくべきでしょう。