【ベトナム】HCMの米国際校、休校解除も授業はなし
資金不足による経営難が表面化したベトナム南部ホーチミン市のアメリカン・インターナショナルスクール・ベトナム(AISVN)は19日、教職員の欠勤を理由とした前日の休校措置を解除し、児童・生徒の一部が登校を再開した。しかし、給料の未払いが続く職員の多くは出勤せず、授業は行われなかった。運営責任者は学校の財務危機の解消に向け投資ファンドと交渉していると明かし、教職員の不在による混乱は当面続くと説明している。 ■給料未払いは2カ月分 19日付タインニエンによると、同市南郊ニャーベー郡にある同校では19日朝、黄色い制服を着た複数の児童・生徒が保護者に付き添われて登校する姿が見られた。校庭ではスポーツをする子供もいた。ただ、教師が不在のため教室での授業は行われておらず、多くの児童・生徒が定時を待たずに下校したようだ。 グエン・ティ・ウット・エム学校運営理事会会長の説明によると、19日に休校措置を解除したのはホーチミン市教育訓練局を含む関連当局からの指導があったため。18日に学校を訪れた当局側との協議で、19日に学校を再開しなければ各種の行政処罰を科すことになると示唆されたという。 エム氏は「学校は再開させたものの、授業をできない状態は少なくても今週いっぱい続く」と述べた。学校では400人以上いる外国籍とベトナム人の教員に現場に戻るよう呼びかけているが、可能性は五分五分で、授業に戻らない教員もいるだろうと指摘した。 同校では外国籍の教員には給料・社会保険の2カ月分、ベトナム人の教職員には給料・社会保険の1.5~2カ月分を支払っていないと説明しているが、具体的な金額は明らかにしなかった。外国籍の教員については給料を受け取れなければ同校を退職する可能性があり、できるだけ早く支払えるよう努めているという。 ■投資ファンドの資金で再建交渉 同校で資金不足が表面化したのは1年以上前と見られ、昨年9月には学校に無利子で計数百億ドン(100億ドン=約40万4,500米ドル、6,030万円)を貸し付けた複数の保護者が「自分の子供が卒業したにも関わらず学校から貸付金が返済されていない」と訴え、正門前に横断幕を掲げて抗議する騒ぎがあった。 エム氏は、「学校は今、財政が安定せず、教職員の給料だけでなく運営費も賄えない状態だ」と率直に認めたが、学校の負債がいくらあるかなどの詳細は明かさなかった。1,400人以上いる児童・生徒の保護者には寄付を呼びかけているが、賛同してくれたのはほんの一部だった。保護者に対する負債がいくらあるかも公表しなかった。現在は投資ファンドの資金による再建を検討しており、「すぐにお金が入るかどうかが喫緊の問題」になっているという。 ■学費だけで年数億ドン AISVNのホームページによると、同校には5歳までの未就学児童を対象にした幼児教育課程(幼稚園に相当)と小学校(5年)・中学校(4年)・高校(3年)の計12年間の就学課程がある。 授業料は◇幼児教育課程:年2億8,000万~3億5,000万ドン◇小学校:年4億5,000万~5億ドン◇中学校・高校:6億~7億2,500万ドン――。これには通学バス代や各種の課外活動費、教材費などは含まれていない。 19日付VNエクスプレスによれば、ホーチミン市内には米国や英国をはじめとする外国資本の学校が35校あり、ベトナムの教育指導要領に加えて、各国の語学・文化教育など特徴のある教育サービスを提供している。学費は高いところだと年10億ドンに上る学校もある。