サメ映画は「JAWS」だけじゃない! B級サメ映画沼にハマる人が続出するワケとは
■サメ映画の人気の秘密「コロナ禍の影響を受けず、沢山作品が発表されてきた」
内田:では早速ですが、「サメ映画」ってニッチな趣味だと思っているのですが、実際サメ映画はどのくらい人気なのでしょうか? 中野:東京でサメ映画のイベントを行うとなると、100~200人の箱は必ず埋まりますね。会場としてお借りしている映画館のスタッフの方にビックリされるんです、「若い女性の方が多いですね」と。実は、ありがたいことに、最近20~30代の女性のファンが増えているんです。 ルーキー:今のサメ映画人気は、コロナ禍の影響が大きいです。大手・中堅映画会社が映画の制作が出来ない時期に、B級よりも更にディープな「Z級サメ映画」が続々と発表されました。「Z級サメ映画」は最少人数で作ることができるので、コロナ禍の影響を受けず、沢山作品が発表されている状況でした。 内田:私がサメ映画にハマったのもコロナ禍でした! 作りが緩くて、なんだか笑えるサメ映画に心を持っていかれてしまいました。 ルーキー:コロナ禍以降も、サメ映画の人気は衰えず、Z級サメ映画への人気が次第にB級、A級のサメ映画作品に伝播していきました。 中野:三角形の影が目の前を通ればもうそれってサメが出ていることになるんですよ! だから発想1つでサメ映画って作れちゃうんです。海でもなく外でもなく、家の中で撮ったような作品だって今まで沢山ありましたから。そういう緩さが20~30代の人たちにウケているんじゃないかなと思っています。
■サメ映画祭きっかけ「『サメ映画』だったら観るという人が一定数いるんです」
内田:人気の高まりからサメ映画祭も開催されます。おふたりは、7月12日(金)から行われる「第一回東京国際サメ映画祭」の運営もされていますが、どうして今回この映画祭を開催しようと思ったのでしょうか? ルーキー:実は「第0回」は何度もやっているんです。元々は「サメ映画は、多くの映画を志す人にとって登竜門だから」と、色んな人にチャンスを与えられるはずだという想いで始まりました。2017年から数回企画はしたんですが、今回ほど大きいイベントではなかったんです。ところが最近、国産サメ映画が沢山出てくるようになりました。 内田:今回の映画祭のラインナップに入っている『ラストシャーク』(2024年)や、7月5日に全国公開されて今話題の『温泉シャーク』(2024年)も国産なんですよね!確かにサメ映画が出るペースって本当に早いなと思っていました。 ルーキー:「サメ映画」だったら観るという人が一定数いるからなんです。特にアメリカの市場では、映画のパッケージを出せばパッケージマニアの人たちが手に取りますし、配信を出せば観てくれる人も多いので、低予算映画でも収益化できるんです。なので、ニッチな映画でも熱狂的なファンがいれば映画で食べていけるんですよね。サメはそういう意味では一番取り掛かりやすい。そして、国産のサメ映画を作る人たちが増えた今、作品を発表する場をそろそろしっかりと作らなきゃいけないと思ったのが映画祭開催のきっかけです。 内田:なるほど! ファンも作り手も増えている今だからこそということですね! 中野:もちろん今回は国際映画祭なので、国産サメ映画だけでなく様々な国の作品を上映します。低予算のものから大作まで、期待に沿えるラインナップになっていますよ。海でサメが泳いでいる作品は1本だけですからね(笑) ルーキー:オープニング作品の『エア・ロック 海底緊急避難所』(2024年)のみですね。海でサメを見るのはそれが最初で最後という(笑)。 内田:それは……B級サメ映画ファンとしてはとても期待できます(笑) ルーキー:お客さんが笑って帰ってくださることが一番だと思っています。 B級・Z級のサメ映画の持つ魅力はJAWSをはじめとした名作と呼ばれるサメ映画の持つそれとは異なります。設定はメチャクチャ、映像は粗いし、撮影技術も高くない作品が多く、時々「何を見せられているのだろう……」と思う作品に出会うこともあります。しかし、同時にサメ映画には、作り手の方の情熱やちょっとした工夫そして愛が注がれていると感じます。そこに誰かを強く惹きつけられる魅力があると思っています。 作り手が自由だからこそ、楽しみ方も自由なサメ映画。きっとあなたのアンテナに引っかかるサメ映画があるはずです。是非この夏、貴方にとっての最鮫の一本を見つけてください! 出会ってしまったら最後。サメ映画の沼に引きずり込まれることでしょう。