“学連”なのに大人のエゴで学生が悲鳴! “パワハラ疑惑”“ガバナンスの欠如”をスポーツ庁も問題視【関東学生ゴルフ連盟に激震・上】
前副会長が会長代行に就任後、1年半以上も居座り続ける
多くの関係者が指摘しているのが、学生ではなく社会人が就く学連の会長と理事の選出方法。理事が選挙で選出され、理事の互選によって会長を選ぶのが一般的ですが、関東学連の場合は総会で選出された会長が理事を指名するシステム。結果、会長のシンパばかりが上層部を固めることになり、学生や監督たちの意見が反映されなくなる弊害を生んでいました。 現場とは乖離した理事会運営が続いた結果、主要競技の注目度は駅伝や大学野球、ラグビーやサッカーにくらべるとあまりに低い状況が続きました。それを嘆いていたのが、のちにマスターズを制することになる松山英樹でした。東北福祉大に在籍していた頃、あまりの注目度の低さを嘆き、恩師の阿部靖彦監督にも不満を漏らしていたといいます。「そういう気持ちをバネにしてマスターズで頑張ってローアマを取って、VISA太平洋でもアマチュアの立場で優勝した。でも松山の頑張りに対して、学連の上層部は評価してくれなかったんです」(阿部監督)。 まさに学生ゴルフ・冬の時代。そうした状況を打開し、国際化を目指すべく日本大学、東北福祉大学などの強豪校は2021年4月に「一般社団法人スーパーリーグ」を設立。大学ゴルフの注目度アップに乗り出しました。 その後、黒須一雄氏が任期中に退任し、前副会長の北口博氏が会長代行に就いた後、次期会長を選ぶ作業が行われないまま1年半以上が経過しているわけです。 このような惨憺たる現状に最も苦しい思いをしているのは、学生たちに他なりません。ついには日本ゴルフ協会(JGA)山中博史専務執行役に“涙の直訴”を行う学生まで出現したというのです。事態を重く見たJGAやスポーツ庁も、事態の収拾に協力することを確約。これを受けて学連の全国組織である日本学連も協力して関東学連の組織改善を期限付きで通達したというわけです。 山中氏も「学生たちの連盟なのに、なんで学生たちが苦しまなければいけないのかなと思います」と言ってから、こう続けました。「『大人たちがちゃんと話をしてくれないことに起因するのであれば、JGAもスポーツ庁も間に入って調整しますよ』って言ってきているんですけど、なかなか前に進まない」と、業を煮やしている様子でした。 関東学連の事務局を通じて北口会長代行に取材を申し込みましたが、「現段階でお話しすることは何もありません」という返信が返ってきたのみでした。そのため10月19日に東京・水道橋の貸会議室で行われた会議の終了直後に北口会長代行を直撃したものの「メールで答えた通り」と語るのみ。「では、誰に聞けば話してくれますか?」と聞いても無言のまま車に乗り込み去っていきました。 一方、日本学連の白井義雄会長からは、質問後すぐに返信が来ました。今回の件については「関東学生ゴルフ連盟の内部的な組織の問題と考えられるので、その対応を見守っているところであります。当、日本学生ゴルフ連盟は、関東学生ゴルフ連盟の前向きな結論を期待しているところであります」と、今後の動きを注視していることを明らかにしました。 そんな状況下、昨年からささやかれている現体制のパワハラ体質を証明する衝撃的な出来事が27日の監督と学生との話し合いの場で起きていました。この問題については、〈下〉で掘り下げたいと思います。 取材・文/小川朗 日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
小川 朗(日本ゴルフジャーナリスト協会会長)