練馬大根引っこ抜き大会、区民が大興奮
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練馬大根の収穫の早さなどを競う「練馬大根ひっこぬき競技大会」が6日、練馬区南田中1の畑で開かれた。個人の部では男性106人、女性107人、団体の部では138組のグループが参加した。収穫された大根の一部は、同区内の小中学校給食として提供される。
個人戦(予選)は、40秒間に引き抜く本数や長さ、重さ、形などを競う。団体の部は1分間で10本を引き抜いて長さや重さ、そして形などを競う。2本折ったら失格というルールで、青首大根と比べて、長く真ん中が太くなっている練馬大根は、力と引き抜くコツが必要。足は肩幅に開き、地面から出ている白い部分をしっかり持って、まっすぐ上に引き抜く。左右に揺らすとすぐ折れてしまう。 エントリー番号が呼ばれると、選手は畑に入場。畑の畝(うね)に並び、緊張した面持ちで気合の入った様子は、アスリートさながら。家族の声援を受けて、引き抜いては走ることを制限時間いっぱい繰り返した。個人の部での優勝は男性が30本、女性が22本(制限時間2分間)。最も長い大根は101センチ、重いものは3.8キロ、面白い形の大根は、小さくてひげ根が長いものが選ばれた。 101センチの最も長い大根を引き抜いた中村いつかさんのグループは、子どもを含め5人で参加し、9本を引き抜いた。最長の大根を引き抜くときは、「ほかのものよりも、抜くのにすごく時間がかかりました」と大物の手ごたえを語っていた。 競技の合間には、練馬大根と根菜の入った味噌汁に大根の葉と大根おろしをトッピングしたすずしろ汁が振る舞われ、体を温めた。繊維がしっかりとした練馬大根は煮崩れしにくく、煮物に向いているという。ほのかな辛みの新鮮なおろしとの相性は抜群。昼過ぎには、4800本の大根の葉の緑で覆われた畑に、何もない地表が現れ、まっさらな大地で表彰式が行われた。
練馬区では、1989年から「練馬大根育成事業」を実施し、江戸時代に盛んにつくられていた練馬大根の復活を成功させた。現在では同区内農家20軒に練馬大根の生産委託し、2015年は1万4140本が生産された。 同区役所産業経済部・都市農業課・農業振興係の遠田秀俊さんは、「昨年に比べて140本増、少しずつですが毎年、生産量が増えています」と話す。市場出荷はなく、区の収穫体験やJAの直売所で販売されるという。生産量のうち5300本はたくあん漬けにされ、翌年2月の練馬漬物物産展などで販売される予定。8~9月に種まきされた練馬大根は、長雨の影響で生育が心配されたものの、多少小ぶりながらも例年に劣らぬ出来のよう。