アカデミー賞2024を「ノーネクタイ」が席巻! ブラックタイはもう古いのか?
2024年3月10日(太平洋標準時)、米ロサンゼルスで第96回アカデミー賞の授賞式が開催された。レッドカーペットに降り立った男性セレブたちの多くに共通していたのは、ノーネクタイながらもエレガントに決まったスーツスタイルだった。 【写真を見る】アカデミー賞レッドカーペットの「ノータイ」ルックをチェック! ライアン・ゴズリング、ブラッドリー・クーパー、ロバート・ダウニー・Jr、そしてマーク・ラファロに共通するものは何か? 彼らはもちろん、全員が今年のアカデミー賞にノミネートされた俳優たちだ。そしてもちろん、世界中で愛され、かつ高い評価を得ている俳優たちだ。しかしそれだけではない。授賞式に様々なタキシードやドレスシャツを纏って出席した彼らだが、その中にネクタイを着用していた者は誰一人としていなかったのだ。 そのトレンドは、ほかの出席者やプレゼンターたちにまで及んだ。ドウェイン・ジョンソンやサム・ロックウェル、クリス・ヘムズワース、ジョセフ・クインらも、レギュラータイ、ボウタイ関わらず皆ノーネクタイだった。世界でも類を見ないほどフォーマルな場であるアカデミー賞の授賞式において、最も伝統的なメンズアクセサリーであるタイが完全に放逐されたかのように見えた。 ■“ネクタイの年”になるはずが…… ここまでネクタイが軽んじられたアカデミー賞というのも、おかしなタイミングでやってきたものである。2024年はネクタイの年になる、と複数の有識者が唱えてきたからだ。ビヨンセに端を発したリボンタイの突然の流行や、ジュリア・フォックスがネクタイでできた服を着ていたこと、そしてエルメスでネクタイが飛ぶように売れていたことなどがその理由だ。しかし、ここ最近のランウェイでは様子が違った。ルイ・ヴィトンやケンゾー、ポール・スミスがスーツスタイルにネクタイを合わせる一方で、ゼニアやディオールではそれが省かれてきた。2022年のG7サミットでも、各国首脳が皆ノーネクタイだったことが話題となった。 ゴズリングが胸元を開いて着ていたグッチのシャツから、クーパーのパリッとしたルイ・ヴィトンの一着、ダウニーの黒シャツとボロタイのスタイルまで、彼らはノーネクタイルックに驚くほどのバラエティを示してみせた。そしてそのどれもが、アカデミー賞というハリウッドいちのビッグイベントにおいて、場違いには映らないバランスを見せていたのである。ダウニーは助演男優賞のオスカー像を受け取った壇上で、「ほかの誰も言わないかもしれないから、スタイリストにも感謝を述べておきたい」と、自身のルックを手がけたエリカ・クラウドに謝辞を送った。ドレスコードにはまだまだ様々な制約があるかもしれないが、ネクタイを巡る考え方は変わりつつあるようだ。 From GQ.COM By Max Berlinger Translated and Adapted by Yuzuru Todayama