第91回センバツを前に/5止 高校野球、未来像に一石
<第91回選抜高校野球> 新潟県高校野球連盟が今年の春季県大会での導入を発表した球数制限は、大きな議論を呼んだ。富樫信浩会長(58)は今回の試みの狙いを「投手の障害予防策のサンプル収集と指導者の意識改革」と説明する。 投手の故障は試合の球数が原因とは限らない。日本高野連技術・振興委員会の日下篤委員長(64)は「球数より(連日投げる)連投の方が、故障につながる恐れがあると思う。連投を制限した方がいい」と私見を示す。甲子園大会や地方大会で1、2回戦は試合日程の間隔が空くことが多いため、連投制限なら投手を複数用意するのが難しい少人数校も影響が少ない。富樫会長は「連投の制限は考えた」と明かすが、データ集めのため、全加盟校に影響のある方法を選んだ。「制限するのは春季大会だけ。医師や選手、指導者に話を聞き、今後に生かしたい」との方針だ。 「100球到達で次の回に交代」の規則は、指導者の意識改革を促す目的もある。試合で2人以上投げることで「今まで使っていなかった投手が活躍するかもしれない。指導者が新たな発見をしてくれれば」と期待する。投手に球数を多く投げさせて降板させる「待球作戦」が増えるとの懸念には「スポーツマンシップに反する。ストライクを打つのが原点。それをしないチームを指導するのが連盟の役割」と反論する。 新潟県では小中高の野球団体や医療関係機関などで作る県青少年野球団体協議会が2011年に発足し、けが防止のストレッチ方法や医師の受診記録欄を記載した「野球手帳」を小中学生に翌年配布。同協議会会長も務める富樫会長は「けがをして野球が嫌いになる恐れがある。いい思い出があれば、大人になっても応援してもらえ、子供に野球をさせようとなる」と訴える。 日本高野連は来月発足の専門家らによる「投手の障害予防に関する有識者会議」に、新潟県高野連の参加を要請している。会議では健康管理策だけでなく、高校野球の未来像など大きな視点で議論することが期待される。【安田光高】=おわり