ジャガー兄弟旅立ち 天王寺から静岡と愛媛の動物園へ
ジャガー兄弟旅立ち 天王寺から静岡と愛媛の動物園へ 撮影:岡村雅之 THEPAGE大阪 音楽:ライカライフ
大阪市天王寺区の天王寺動物園で20日、他地域の動物園へ旅立つことが決まったジャガー兄弟のお別れ会が開かれた。ジャガー舎の前で飼育員が「子育て」の苦労話などを披露し、詰め掛けたファンらが「元気でね」と声をかけて別れを惜しんだ。 【動画】小さいころの映像・天王寺動物園ジャガーの赤ちゃん展示へ
思わぬけがを乗り越え元気に育つ
ジャガー兄弟は卯月小助と卯月佐助。ともに昨年4月、父のジャガオと母のルースの間に生まれた。2頭ともオスにふさわしく活発に動き回ることから、母親のルースが育児疲れに陥り、ストレスからか佐助の尻尾を強くかみ過ぎたことで佐助が負傷。 けがの治療のため、しばらく入院するトラブルに見舞われた。その後、佐助が健康を取り戻して戻ってくると、ジャガーらしいかわいい勇者ぶりから兄弟で人気者になっていた。 ジャガー舎前で開かれたお別れ会では、飼育員が飼育体験を報告。「母親のルースは元気な兄弟の子育てでバテバテになり、『何とかして』と目で訴えてきた」と振り返る。けがを乗り越えての兄弟の旅立ちだけに、飼育員にとっても、思いは格別らしい。「兄弟は仲が良くて、いつも2人で遊んでいた。毎朝あいさつをしてくれたふたりがいなくとなると、心に大きな穴が開きそう」と、切ない心境を明かした。 兄弟は別々の動物園へ向かう。小助は22日、静岡市立日本平動物園へ出発。佐助はやや遅れて夏ごろ、愛媛県立とべ動物園(愛媛県砥部町)へ旅立つ。それぞれ新しい動物園で展示トレーニングを終えると展示が始まる。
小助は兄貴肌で佐助はおっちょこちょい
兄弟とも生まれた直後の体重は4キロほどだったが、今では母親と同じ50キロから60キロほどに成長。生後1年2か月は人間の中学生ぐらいに相当し、オスなのでまだ大きくなるという。小助は落ち着いた兄貴肌、佐助はおっちょこちょいの遊び好き。性格が対照的な名コンビだった。 奈良県から訪れた小1男児は「かわいかった。かくされたえさをさがしだして食べていた」と満足げ。ジャガー兄弟は仲がいいと聞かされると、「僕はおねえちゃんとよくけんかをする」と、少し反省気味だった。来園者によるお別れメッセージの寄せ書きも作成された。
ジャガーはアメリカ大陸に住んでいるネコ科の動物の中でもっとも大きい。ヒョウに似ているが、体格が大きく模様が異なる。絶滅が危惧されており、動物園でも引っ張りだこだという。詳しくは天王寺動物園の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)