自宅やオフィスの「鍵をデジタル化」、33歳経営者の自信
河瀬 航大(かわせ・こうだい)/1988年9月19日鹿児島生まれ。2011年筑波大学理工学群卒、ガイアックス入社。2014年9月Photosynth設立、社長就任(撮影:今井康一)
「世界から、鍵をなくそう」をビジョンに、スマートフォンや非接触型ICカードを使ったスマートキーの開発・販売を手がけているPhotosynth(フォトシンス: 4379 )。20代半ばの若者たちが、飲み会をきっかけに「キーレス社会」の実現を夢見て起業し、2021年11月に東証マザーズ上場を果たした。2014年の創業時から当社を率いる河瀬航大社長に、ビジネスモデルと成長戦略を聞いた。 ――フォトシンスを創業した経緯を教えてください。 2014年の初め、25歳のときに友人と渋谷で会食した際に、「鍵が不便だ」という話で盛り上がった。鍵をなくした経験のある人や、かばんから鍵を出すのが面倒だという人もいた。考えてみると、かばんの中からアナログな物はどんどん姿を消している。ノートとペンはMacやiPadに、本はKindleに、時計はスマートウォッチになり、現金を使う機会も減った。残っているのは鍵と、必要な人には薬くらいになりつつある。この先、鍵もデジタルに置き換わっていくのではないかと。 そこで作り始めたのが、自宅の鍵をスマートフォンで開閉するためのプロダクトだ。当初は別の仕事をしながら開発を続け、まだプロトタイプ(試作品)を作った段階なのに、「買いたい」「提携したい」というお話をいただいた。この製品には社会的ニーズがあると意を強くし、本格的に量産することを目指して2014年9月に会社を立ち上げた。 英語で光合成を表す「photosynthesis」という単語をもじって、フォトシンスという社名にした。光合成が無機物から栄養分などの有機物を生み出すように、当社も価値あるものを生み出していきたいという意欲を込めている。
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広瀬 泰之